の絆

作者 恵駆

プロローグ


 轟音が鳴り響く……

 崩れ落ちる建物の中で、1人の少女が、崩れた足場に片腕だけで捕まっていた。
 ほんの数分前、少女は魔神と言われた男に勝利し、仲間達と共に崩れ落ちる建物から脱出をしていたのである。
 しかし、突如崩れた足場に少女の足は空を踏み、間一髪で床に手を伸ばして落下をまぬがれたのである。
 助けようとする仲間達に少女は構わずに逃げろといい、1人でこうやっているのである。

「さて……どうしようかしらね」

 そう呟くと、少女はなぜかうっすらと笑みを浮かべた。
 この、半ば絶望的な状況でも、絶対に死なないという自信が少女にはあった。
 いや、そうとでも思わなければ、こんな状態を維持することなどできないであろう。
 少女は自分の諦めの悪さに半ば呆れていた。

 と、その時であった。

「え……?」

 誰かが少女の腕を掴んだ。
 少女は顔を見上げる。
 するとそこにはペイルブルーの髪をした自分よりも幼い少女が、自分の腕を掴んでいたのである。
 しかし、その少女の表情は明らかに自分を助けようとしていた。
 そして、自分の腕を引っ張る少女は、自分に向かってこう言ってきたのである。

「お姉ちゃん!」

 確かに、そう言ってきた。
 まさかとは思ったが、その後も少しの会話を交わし、自分をお姉ちゃんと呼ぶ少女に、少女はなぜか笑わずにはいられなかった。

「今度は私がお姉ちゃんを助ける番だからね!」
「フフッ……あなたっていう子は……」

 2人の心が通い合ったのか、少女は一気に崩れ落ちた床から這い上がった。
 窮地を脱した少女は、自分を助けてくれた少女に優しく微笑んだ。

「ありがとう……クーラ……」
「うん!」

 クーラと呼ばれた少女……クーラ−αは、自分の姉……XXに満面の笑みで微笑み返してきた。

「(姉妹というのも……悪くないわね)」

 心の中でそう呟くと、XXはクーラ−αと共に崩れる建物から駆け出していった。

 この日、2人には互いに新たな家族ができた。
 姉妹という、新しい家族が……


 

第一章に続く
図書館に戻る