もう一つの未来〜もし、この星が…


NO.5

作者 クラッシュさん


ムロフシは部屋から出ると、作戦室までスピードを緩めることなく走っていった。すでにさっきの夢の事なんて考えてはいないようだ。約二分ほど走ってやっと作戦室に着いた。

「やっと来たか、全く、進歩のない奴だな。」

ハマサキの一言がムロフシに少しのしかかった。

「うっせーな。それよりもトモヤ達はもう行っちまったか?」

彼は早く闘いたくてしょうがないらしい。少し早口で言っている。

「ああ、今日はこのDエリアを中心に攻めている。ここならお前らでも倒せる危険レベル5程度の怪物しか…」

ハマサキは大きな声で説明をしているが、肝心なムロフシはと言うと…

「Dエリアだな?よ〜し!!」

…などと気合いを入れて場所だけを聞いてその後の話はほとんど聞いていないようだ。

「まあ、待て!!このバッチを持って行け!!」

ハマサキは何やら葉の形をしたバッチをムロフシに投げた。

「あ?なんだ?このセンスのねぇバッチは?」

ムロフシは呆れ顔でバッチを見る。

「酸素とバリアを作り出す新しいバッチじゃよ。」

酸素はこの世界にはない。このムロフシ達が住んでいる建物にはハマサキの手によって作られた特殊な空気洗浄機があるので汚い空気はほとんどないが、外には酸素はないと言ってもおかしくない世界が広がっている。

「酸素はともかくバリア…?」

「ああ、少しぐらいの攻撃ならはじき返せるぞ。」

「あっそ。まあ、仕組みまでは聞かねぇよ、長くなるから。そうだ、聞きたかったんだが、この前拾った使えそうなバイクの修理はできたか?」

ムロフシが少し楽しみな顔をしながら聞く。その姿はまるでおもちゃを買ってもらう時の子供そのものだった。

「ああ、できているよ。表に置いておいた。」

それを聞いたムロフシは微笑んでワクワクとしながら表に向かって走っていった。

「よぉし!行くぜぇ!!!」

彼はまだ、今、起こっている悪夢のような現実をまだ知らない。

・続く


 

NO.6に続く
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