もう一つの未来〜もし、この星が…


NO.8

作者 クラッシュさん


「………?……俺は……生きてるのか?」

ムロフシは、さっきと変わらぬ寂れた平地に倒れていた。
彼は体に疲労が溜まっているのに気がついた。

「…夢…って訳じゃなさそうだな…。」

ムロフシは左の頬を手で撫でた…
そこにはさっきの化け物のつけた爪痕がついている。
…だが、さっきまで開かなかった目は開けるようになっている。
どうやら失明とまでは行かなかったようだ。

「…くっ……どうなったんだ?一体…」

重い体を起こして、周りを見回すとさっきの化け物が血塗れで倒れている。

「俺が殺ったのか…?」

ムロフシは右腕にも怪我をしていた。
その腕を撫でながらゆっくりと、バイクの方に歩いていこうとする。

「おまえら、大丈夫か…?」

答えが返ってこないことを承知でムロフシは聞いた。

「オイッ…答えろよ…シカトすんなよ。」

目から暖かい水のようなモノが頬をつたって流れた。

「…こんな所で、寝てると風邪ひくぜ?」

彼は眠っている仲間の顔を見て、急に胸が熱くなった。
こんな感情は初めてだった。

「許せねぇ…。絶対に許さねえぇぇ!!!!」

ムロフシは心の底から初めてこの言葉を言った。
さっきまで痛かったはずの傷の痛みはすでに忘れていた。

彼はバイクのある場所まで勢い良く走っていった。

「(俺が…俺が元の根を断つ!!もう、犠牲者は必要ねえ!!)」

ムロフシはバイクに跨るとエンジンをかけ、ハマサキ博士の元に走っていった。


 

NO.9に続く
NO.7に戻る
図書館に戻る