KOF
ニュージェネレーション

作者 タイ米

ラウンド0 「KOF復活!!」


 キング・オブ・ファイターズ。

 通称、KOF。
 一年に一度開催される格闘家達の祭典。
 同時に黒き者達の陰謀が渦巻く大会としても有名で
あった。
 いずれにせよ、大会自体の興行は大成功を収め、そ
れによる経済効果も絶大であった。

 が、それも折からの格闘ブームが去ってからはパッ
タリと息を潜め、KOF自体もそれと共に自然消滅す
る形でなくなっていった。
 そんな時、一つの衝撃的なニュースが世界中を駆け
巡った。

 KOFの復活。

 ここ数十年開催されてこなかったKOFが、何の前
触れもなく行われるのだ。
 格闘家達はこれに驚くと同時に、喜びに打ち震えた。

 ある者は実力を試すために…。
 ある者は巨額の富を得るために…。

 いずれにせよ、それらが叶えられる、またとない場
が与えられたのだ。
 今回は個人戦ということもあり、仲間がいなくとも
エントリーができた。
 その為、出場希望者は過去の最高記録を軽々と抜い
た。
 この結果に喜んだのは当然、主催者陣だ。
「これだけのエントリー表が来るとは正直、思わなか
った…」
 今回のKOFを企画した首脳陣の一人の声。
 抑えていた笑みが思わずこぼれてしまう。
「ボスが招待状を送った選手も、全員返事が来ており
ます。もちろん、『出場』という形で…」
 秘書が『ボス』と呼ばれた男に報告をする。
「そうか。ということは例の少年も…」
「ええ。エントリーしております」
「ありがとう。これで作戦の第一段階はクリアしたな…」
 男はパソコンに目をやり、計画の進捗状況を打ち込
む。
「ボス。確かにあの少年は、世紀の大番狂わせといわ
れる事を実現しました。しかし、私にはあなたがそこ
まで、あの少年に入れ込む理由がわからないのですが…」
 秘書が男に言う。
 男は、作業の手を止め、秘書の方を向く。
「君はまだわかってないようだね。彼がどんな力の持
ち主かを…」
「草薙流古武術。炎を操る拳の使い手…」
「そうだ。あの地球意志をも打ち破った伝説の力、
『草薙の拳』だ。かのネスツもその力を使ってのし上
がったといっても過言ではない。必ずや、我々の計画
にも役に立ってくれるだろう…」
 男はまたもや視線をパソコンに戻す。
 しかし、秘書はまだ男に尋ねていた。
「『草薙の力』についてはわかりました。しかし、ど
うやってその力を手に入れるのですか? あの地球意
志をも破った力です。そう簡単には事が運ばないよう
に思われますが…」
「だから、まだ粗さや甘さの残ったあの少年を選んだ
のだ。私が欲しいのは少年ではない。あくまで『力』
だ」
「わかっております。しかし、少年といえども彼の腕
は確かです。世界中の一流の格闘家と何ら劣るところ
はありません…」
「君はつくづく心配性だな。だが、安心したまえ。我
々も手を打ってある」
 男がパチリと指を鳴らす。
 と、秘書の背後にいつの間に刺客と思われる者が、
数名立っていた。
「彼らは?」
 秘書が尋ねる。
「今回の為に私が雇った精鋭部隊だ。彼らの力は私が
保証する」
 彼らの周りには明らかに殺気と呼ばれるものが感じ
られた。
「なるほど。抜かりはない、というわけですね…」
「そういう事だ。我々はただ待てばいい。KOF当日
をね…」
 男は不敵な笑みを浮かべた。

 今回のKOFもやはり、波乱が起ころうとしていた。


 
ラウンド1に続く
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