KOF
ニュージェネレーション

作者 タイ米

ラウンド6 「決着」


「その程度…じゃと!?」
 焔の言葉に、我を失いそうになる源吾。
「はっきり言って、今のあんたには負ける気がしねぇ」
 焔は、はっきりそう言った。
「何じゃと!?」
「あんたは何を思って戦ってんだ。俺に炎を出させる為か?
勝つ為に戦ってない奴なんかに、勝つのなんか死ぬほど簡
単だぜ」
「そんなわけなかろう! ワシはお主を倒す為…」
「なら、なんで勝負をかけた締め技が、あんなに簡単に抜
けられる? なんであの締め技を抜け出させるように薦め
るんだ?」
 源吾は言葉が出なかった。
「相手がどうだろうと、そんな事はどうでもいい。要は自
分が勝つか負けるか、それだけだろう!?」
 焔は拳を固く握り締める。
「俺は、あんたに勝つ為に、この拳一つ一つに全てを賭け
る。俺の命も…。下手すりゃ、あんたの命も奪いかねない
ぜ…」
 焔の表情が、今まで見たことのないものになっていた。
 好印象を与える顔とは一転、戦いに身を投じる修羅の如
き形相になっている。

 源吾は気がついた。
 この男は、本当の意味で格闘家だと。
 相手が炎を出そうが出すまいが関係ない。
 勝たなければ、そこに意味はないのだから…。
「醜態を、さらしてしまったな…」
 源吾の表情に迷いは消えた。
「今までの非礼は詫びよう。ワシの全てを賭けた柔道を持
って…」
「来いよ…」
 構える両者。
 心なしか、焔の拳に灯りのようなものが見えた。
「行くぞっっ!!」
「おぉぉぉぉぉ〜〜っっ!!」
 二人がぶつかりあう。
 己の全てを賭けて…。

 数分後。
 勝負は着いた。
 焔は荒い息をしながらも立っており、対する源吾はとい
うと、大の字になりながらのびていた。
 最後まで立っていた者が強者。
 勝ったのは焔であった。
 柔道部員達も、この光景に唖然としていた。
 焔は、自分の顔についた汗を拭い、こう言った。
「思ったよりずっと手強かったぜ。もし、今より強くなっ
たんなら、その時はリベンジを受けるぜ…」
 そう言い、焔は柔道場を去っていった。

 源吾の敗北。
 彼の体中には、所々に火傷の跡があった。
 炎の攻撃に耐えながらも、精一杯抵抗したが、体が遂に
限界を訴えてしまった。
 源吾が次に起き上がったのは、焔が去って、5分後の事
であった。
 こんなに火傷をしながらも、それでも次の瞬間には、平
然としていられるところを見るに、彼の体の頑丈さが伺え
る。
 そんな彼の体を、限界以上まで痛めさせた焔の炎の攻撃
力もかなりのものだが…。
 源吾は、柔道部員達から、焔が自分の事を認めてくれた
という事を伝えられた。
 それを聞いた源吾は、あさっての方を向きながら、「そ
うか…」と呟いた。
 そして、次の瞬間には、泣き崩れた。
 子供のように、思いっきり…。
 実力を認められたとはいえ、敗北はやはり、彼にとって
も辛いものであった。


 

ラウンド7に続く
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