KOF
ニュージェネレーション
作者 タイ米
ラウンド5 「怒り」
| 焔の怒涛の攻めは依然として続いていた。 いくら炎を使ってないとはいえ、相当な腕の持ち主だと いう事は変わりない。 だが、このまま調子に乗らせたままではいけない。 自分から柔道の力を思い知らせると言ったのだ。 源吾は歯を食いしばり、必死に攻撃に耐えた。 (もう何発も攻撃を受けてきたんじゃ。そろそろ奴のパタ ーンもわかる…) 焔の攻撃。 (ここだ!) 源吾が掴む。 だが、焔も同じ手は喰わなかった。 すぐに払いのけ、間合いを離す。 「フゥ、危ない。もう少しで投げられるところだったぜ…」 だが、顔は言葉に反して楽しそうであった。 対照的に、源吾の方は怒りに表情が満ちていた。 「危ないじゃと…。よく言うわい。まだ本気出しておらん くせに…」 「?」 焔が言い返そうとするが、源吾はその暇を与えなかった。 「ワシだって知っておるぞ。草薙流古武術は炎を操る流派。 炎を使って、初めてその力がわかる」 「……」 「だが、お主はこの戦いでまだ一度も炎を出していない! それが手加減と言わず、何と言おう!?」 源吾が焔をビシッと指差す。 「炎を使え。ワシはお主が考えてるほど甘くはないぞ…」 だが、焔の返事は意外なものだった。 「悪いが、炎を使え、と言われて使う事はできないね。こ れはもともと大会でも何でもないからな…」 「何だと!?」 「もともと草薙流は滅多な事がなければ、炎は使わない。 それこそ、この前のようにトップクラス級の空手家を相手 にしない限り…」 「な!」 「それに草薙の炎は危険だぜ。下手すりゃ、その体が一気 に焼け焦げちまう。興味本位で炎の技を受けようとすると、 怪我だけじゃすまないぜ…」 「それがどうした…」 源吾の目が、焔を睨む。 「ワシはこの柔道に命を賭けておるんじゃ。そんなものを 恐れてるようじゃ、誰とも闘えん。それに…」 「それに?」 「ワシは体は人一倍丈夫な方でな。余計な心配は無用じゃ」 構える源吾。 「無理だな。そんな事で、家の規律を破る事はできないか らな…」 「フン。案外、律義な性格じゃな」 「親父やお袋に、嫌というほど仕込まれたからな。だが、 そんなに使わせたけりゃ…」 「!?」 「力ずくで使わせてみ?」 挑発する焔。 「なるほど。ワシが炎を使わせるに値する人物かどうかを 試す気か…」 源吾の体に力が入る。 「嘗めるなよ、草薙。すぐにお主の炎を使わせてやる。そ して、ワシが勝つ!!」 源吾の声が柔道場に響き渡った。 「やってみな…」 焔も構える。 次の瞬間、焔と源吾の距離は、目と鼻の先にまで縮まっ ていた。 「は、速い!!」 部員達もこの源吾のスピードには驚いていた。 そして、焔を掴む。 今度は逃がさない。 「忘れてはいないじゃろうな。ここはワシのホームグラウ ンドだという事を…」 そのまま押し倒し、締め技に移行する。 「今度はきっちり極めておる。このままならワシが勝って しまうぞ…」 源吾もさすがであった。 前のようなミスがないように、確実に極められる技で勝 負をつける気であった。 「さあ、どうする! 草薙!!」 「言ったはずだぜ。外し方は心得てるって…」 「!?」 焔も抵抗する。 想像以上の力に、源吾も驚いた。 だが、ここで退いてはいけない。 柔道の力を見せつけるため、焔に勝つ為に、締め技を続 けた。 「く…ぬぉぉぉぉぉ〜っっ!!」 源吾が吼える。 しかし、次の瞬間、源吾の技がついに外れてしまった。 そして、逆に焔の攻撃がクリーンヒットしてしまった。 倒れる源吾。 すぐに起き上がるが、ダメージは思った以上に大きかっ た。 そんな源吾の状態を見て、焔はこう言った。 「その程度か?」 「!?」 「あんたが命賭けた柔道は、その程度かって聞いてんだよ!?」 焔の言葉は、源吾の心に深く突き刺さった。 |