共同戦線L&A
温泉編2
リリスの横には、本物の麻宮アテナが同じ温泉に
入っていた。
さっきまでリリス一人だったところからして、
恐らく今来たのだろう。
どうやらリリスは、軽いショックウェーブで首を
少し刺激したようだ。
「うぐぅ…ちょっと痛かったよ…」
さすがに夢心地の中でこういうことをやられるのは
誰だって気分が悪い。
(そのままだったら死んでたかもしれないが)
口を尖らせて、ブーブーとすねている。
「しょうがないでしょ…このまま放っておいたら、
水死してたかもしれないじゃない…たぶん」
そう言うとアテナは、 の湯の入った石によりかかり、
一つ息を吐いた。
「ほえ?」
アテナの行動は何かひっかかる。
のんびり、のほほんと、日々の緊張を忘れて
風呂に浸かっているリリスとは正反対に、
上を見上げることもあまりせず、リリスのほうを
主にみやっていて、
今は露天風呂の、気持ちよさ、暖かさなども
感じていないようだった。
「…ねぇ」
ほとんど微動だにしないアテナに、声をかけるリリス。
「…外国人のボクが言うのもなんだけど…
もっと気持ちを楽にしたほうがいいと」
「思わないわ」
アテナがリリスのアドバイスを遮った。
「あなたが何を考えてるのかは聞かない…見ないわ。
でも、あなた、こんなところにいて、何がしたいの?
ダークストーカーさん」
リリスの顔を空気が掠めた。
それは空気ではない。
下から斜めに振りあげられた、アテナの腕に巻かれた
赤い気の刃、サイコソード。
「…………………」
リリスの頬からは血が垂れてきた。
「………」
今は話すだけ無駄に見える。
ならやることはあれだけ。
話せないなら。
「しょうがない……いくよ!」
勢いつけて湯をバネにし、そこから出た。
熱い水が飛沫となって相手の動き、視界をブラインドする
。
リリスが風呂の岩に降りたその時には、
その姿は元のサキュバスに戻っていた。
「……なら、あたしも…!」
手を上に挙げ、人指し指をかざすアテナ。
その時、 の湯がアテナの周りに集まり、円柱状の
カーテンをつくりだす。
水の音は竜巻にも似た音を作り、そして水は元の型に戻る
。
アテナも、その時には、闘えるコスチュームへと変化して
いた。
「いくよっ!!」
「あたしも…負けるわけには!!」
熱い場所での真剣な闘いが。始まった。
☆
戦局はどちらとも譲らなかった。
というか、わかったのは結果ではない。
「……技のふりかた…それに望む心…そして、
それを魅せた真っ直ぐな目…
ダークストーカーって、悪い者ばかりって聞いてたけど、
そうでもないみたいね」
目を閉じたままぽつりと言い、興した力をアテナは消した
。
「気づくのが遅いよっ、遅すぎるよっ」
その落ち着いたアテナに対して文句を垂れるリリス。
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