共同戦線L&A

TOWN 2

スケッチブックにサイコグラフィーで写しだされた
人と人。
二人には見覚えの無い姿。
一人は赤い尖った形のサングラスを掛けた今風の
若い青年に見える。
もう一人は…まっ黒なシルエットになって何も見えない。

闇と同じ。…暗さ。

「……なにこれ?」
これだけでは、さすがに意味が通らない。
リリスはアテナに写真のことをポケっと訪ねた。
「…あたしもよくは解らない」
サイコメトリーは、それを使った場所から過去の
記憶を読み取ることができるが、ハッキリと見ることは
できない。
それを映像にするとなると、さらに過去のことが
解らなくなる場合も出てくる。
「でも、学園の残留思念は異常なほどに強かった。
この人たちが鍵を握っている。というのは絶対よ」
自信を持って語るアテナ。
自分の自信。
信じる。
そこから。

「とりあえず、ここらを一人一人で回ってみましょ。
何かあったら、これで連絡」
その言葉とともに、アテナはリリスの手に小さいものを
渡す。
携帯電話。
「あたしのだから、壊したりはしないでよ」
とのアテナの説明はいい。が。
「………うぐふ〜、どうやって使うかわかんないよ〜」
携帯電話の『け』の字も知らないリリスはその物体を
見回したり、手の中で転がしたりするだけで、
あと…泣きが入ったような声を出していた。
            ☆
「それじゃあ、リリスは…東の方角から回って。
あたしは西から行って見るから」
アテナは一通りリリスに携帯電話の使いかたを
レクチャーすると、これからの計画を教えた。
「おっけ」
「それじゃ、あとで」
そのアテナの言葉で、リリスは駆け出した。

リリスと違い、止まっていたアテナは、
持っていたもう一つの携帯電話を出すと、こう呟いた。
「忘れもの、勝手ながら、使わせてもらうよ…」

R.K

ストラップにこんなイニシャルがついている。
どうやら、この人の忘れ物らしい。


うまくいけばなんでもいい。

駄目なら頑張る。

生きるってそうだろ。善も悪も。


「あの……こんな人、知らないかな?」
「いいや」
リリスは歩く人歩く人に絵を見せて聞き込みをするが、
収穫はない。
そればかりか。

「あの…こんなかんじの人、知らない?」
「あの……遊ばない?」
「はえ?」
見た目にもぐうたらな風体をした男。リリスの右手を
掴み、強引に裏路地へ引っ張っていこうとする。
目的不明で。
「うぐ〜!!」
あまりに恐くなって叫ぶ。
見境のない女の敵のひとつ、『ストーカー』の前から
少女は一目散に退散した。
「うぐぅ〜!」

アテナの地図は、超能力。
T駅にまず向かうと、クレアヴォワイアンスでその周辺を
見回す。
見えてくるもの、目的に合うものは、見つからない。
「目星なし……か」
呟きと同時に目を開くアテナ。
場所は東京のまま。
「…ふぅ……む……」
グラフィーされた写真をポケットから出して、もう一度
目的の顔、形、姿を見てみる。
そして首を2、3、度傾げる。
「……クレアヴォワイアンスで東京全体を見ても何も
見えなかったな……」
そうなると、考えが一つ浮かぶ。
「東京駅の思念……もしかして、犯人はこの駅から
どっか行ったのかな……?」
最悪のことだがありうるパターンだ。
アテナの表情はさらに険しくなる。
でも、本当に、この駅からどこかに行って……また
清嶺学園みたいに悲劇が起きたら……

ドッッッ

「………は……あっ!!」
不意にアテナは後ろから切り裂かれていた。
質素な色をした緑と茶色の模様のあるウェアが、
縦に裂かれ、赤く血に染まっていく。
痛みという強い刺激で、アテナは地面に倒れていった。

「い……誰なの!?」
涙の浮かぶほどの痛みをこらえ、腕で体を支え、
アテナは切り裂いた本人を名前を聞く。

相手の反応は、淡泊、そして、
「……僕が背中から与えたプレゼントに
泣きも叫びもしない……」
手から滴る生暖かいもの。
ひたすらに長く、尖った手から伸びるもの。
赤くなった爪。
「積まんない奴」
爪についた血を一嘗めすると、そいつは冷酷な反応で
答えてくれた。



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