「共同戦線L&A」

PLEASURE 1

『快楽』

気持ちよいこと、ものの意味。

それは、人によって違う…


「叫んでくれよ……」
奴は、アテナの背中にある、裂け目にも見える傷に
長い自分の爪を突き入れる。
「う……あぁ……」
痛みに反応して出る声。それに呼応して、奴のテンション

上昇する。
「叫んでくれよオォォォォォォォッ!!!!」
傷に入っていた爪を、傷の範囲まで激しく往復し始めた。
「…あああああああああああああああっ!!!!!」
「もっと大きく泣いてくれよ!僕に届くようにさぁ!!
小さすぎて聞こえやしないよ!!アハハハハハハハ!!」

痛いよ……苦しいよ………
このまま死ぬのが怖いよぉ…

助けて………
あたしは……………
…………………………………………………………………
            ☆
「……アテナ?」
林にも似た道。
誰に何もされてないのに、リリスは後ろを振り返った。
でも。助けには呼ばれた。
頭の中に……見える。みえる。
「アテナ…誰かと会って…大変なコトになってる。
助けにいかないと!」
時は、未(ひつじ、2〜4時頃)の刻。
不思議なことに、リリスの回りには人だかりがない。
「今ならOKだね。サキュバス、モーフィン……」
「残念だが、そうは問屋がおろさねぇぜ」
「ふえっ!!?きゃあっ!!」

邪魔者……もとい。加勢は、天命のごとくに来る。
勢いのあるものをくらい、リリスはベンチをふっとぶ
背中で倒し、そのまた遠くの木に再び体をぶつけた。
「う……ぐっ……」
これぐらいの痛みは大丈夫。ゆっくりだが、体を起きあが
らせる。
「どうだい?俺の『空拳』は?」
この声……今の男。
赤いサングラスにジャケット、グローブというラフな
いでたちをしたそいつ。
ファッション雑誌に出ても違和感のなさそうなくっきりし

顔立ちの彼は、笑みを含んだ声で近づいてきた。
「……結構なもの…かな。」
姿勢を戻して、構えをとる。
「そいつはどうも」
男、というより青年も。
「そこ……通してくれない?友達がいるんだ」
「………………できねぇ相談だわ」
ゴングとなりし言葉。
「……だよ…ね…だったら、ボクが自分の力で!」
服を掴んで、改めて元のサキュバスに戻る。
「やってみな!!いくぜ!!」
            ☆
「おらぁっ!!はあっ!!」
「えやっ!やあっ!!」
彼の圧倒的なスピードの空手。リリスも攻撃はする。
が。
(ううっ……反撃が……チャンスが)
結果的に、攻撃をさばくか、さばかれるかになっている。
それに相手に押されている。ということは、もと来た道を
戻ってきてる、ということになる。
(もと来た道を戻ってるよ〜)
            ☆
「傷……ついてゆくさま……いい……いいよ!!」
サディストを越えた者であるそいつの残虐さ。
「……い………うああ……あぁ……」
板さと辛さから滲みでる小さな声。
涙も、目にこみ上げていた。
赤い場所。もう背中だけに留まらない。
顔、手、足…………あと……
傷のつけられるところはやるだけやる。
「さて……仕上げに……」
「……な……に…す…る…き……な……………の」
「まだ…殺しはしないよ。でも……」
            ☆
「空拳!!」
「ソウルフラッシュ!!!」

拳と光が真っ直ぐにぶつかりあい、小さな花火を作る。
花火の小さい爆発を見て、二人は距離をおく。
「……やるね…お兄ちゃん……」
「…そいつぁ……」
目に留めることができなかったスピード。
少女の下顎を蹴る足。
サマーソルトキックがリリスをなぐ。
「どうもだぜ!」
「わあっ!!」
と衝撃を受けつつも、羽根を広げ、何もないところで
受け身をとり、今度はその羽根でカウンターを狙う。
「シャイニングブレイド!!」
落ちる羽根が敵をとらえようとする。
「させるかぁ!!」
            ☆
「……いたっ……」
攻めたはずの者は逆に倒される。
手で服についたホコリを払うと、青年は台詞を吐き捨てた。
「俺と当たるのに考えなしか。んなんじゃ、俺、
日野壮介さんには勝てねーっての」
言い終わると、その壮介はポケットに手を突っ込んでため
息を一つついた。


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