を待つ主の館

ファイル3「二階」

二階に上がってきた二人。上がったところで一つ疑問が
浮かんだ。
上も下も構造は同じだが、飾ってあるものは光と闇程に
違った。
「…なんだこりゃ?」
壁には壁という壁にびっしりと肖像画がかけてある。
そのひとつひとつを覗くマリー。なぜなら、
「……これ、テリーの顔じゃない。その右は
リョウ・サカザキ、これはユリであれは…」
「この赤ハチマキ、リュウっていったな。それに京に
K’にK9999に………このオヤジ、
藤堂アンノーンだっけ?」
肖像画の一つ一つに、名のある格闘家の顔が見えるのだ。
「藤堂龍白よ、テリー」
マリーも違う。正しくは竜白だ。
「そんなことより…さっきと同じように、ここにも
何があるか解らないわよ。落ち着いて」
どんなときでも冷静さを失わないマリー。
さすがはプロの仕事屋といえるだろう。
「おまえは考えすぎなんだよ、マリー」
それに反してのうてんきなのかと見えるテリー。
こういう二人だから以外に噛みあうのか。
            ☆
やはりというか当然というか、ここの通路もひたすらに
長い。
それに肖像画も、二人を見ているようにゾロッと
存在する。
「……裂?破門された坊主…」
テリーは眉がハの字になった。
そんな奴聞いたこともない。
「こっちにはテム…」
マリーも口が一瞬と止まってしまった。
いや、確かにこいつは太った弁髪のスキンヘッドだが、
世間の知名度はそんなにないようだ。
ファンの方はすまない。
「……ま、いいか、行こうぜ」
テリーが肖像画に背を向けて先へ進もうとしたその時。

「テリー!!」
マリーが相棒の名前を叫ぶ。
「!?」
気づいた時には、坊主の肖像画の目が赤く光っている。
そう、肖像画なのに。
『ギギ・・ハモン・・シネ!!』
肖像画は言葉とともに、目からビームを出してきた。
このままでは避けられない。
腕を顔によせ、ガードの姿勢をとるテリー。
            ☆
テリーが次に目を開くと、彼は仰向けの姿勢に
なっていた。
「……ここは?」
「まだ二階よ」
目前にはマリーが立っていた。
「あんな光線をガードするなんて、無謀な防御法よ。
腕から内臓を貫通するわよ」
目をつぶってため息まじりに言う。
そして、立ち上がろうとするテリーにもう一言。
「あなたは気づかなかったみたいだけど、死にそうな
ところを私が間一髪で助けてあげたんだから。
お礼の一つは挨拶じゃすまないわよ?」
そんな言葉に息をついて
「そうだな。今度、ビーフカップおごってやるよ」
帽子をかぶり直して完全に立ちあがる。
「決まり。いつもの場所のいつものやつね」
二人の結束は堅い。
            ☆
『ダス・・ダス・・だ・・』
そんな安息も束の間、さっきとはまた別の声が。
「ダス?」
首を傾げるテリー。
「あ、やっと思いだした。テムジンよ」
マリーが突然手を叩き、思い出したように言う。
「確か龍虎の拳2のキャラクターよ。ギースが若い時代の
」マリー、お前は何物?
と、テリーたちの後ろから、なにか人影が。
「ん…?」
よく見ると、それはヤングギースの等身大の模型、しかも
デッドリーレイブでこっちに向かってきているでは
ないか!
            ☆
「模型とはいえ冗談じゃねえ!ここでこいつと
張り合えってか?」
テリーの動揺などおかまいなしに、ヤングギースの模型は
こちらに向かってくる。
だが、マリーはいまだ弁髪の肖像画を気にかける。
「!…なるほど、これが彼が向かってきた理由ね」
マリーは視線の先、弁髪の男の肖像画が、
レンズになっているのを発見した。
ただ、それを発見してももう遅い。
「Deadry---………RAVE!!!!」
『ハモン・・・シネ』
坊主の肖像画も、再び目が光る。
「ホントに冗談じゃねぇや!次いくぞ!」
「お…オッケ!!」
テリーはマリーの手をとり、早く早く、と言う足で
二階を去った。
途中、ビームやデッドリーレイブに捕まりそうには
なったが……
            ☆
変わってここは屋上。
一人の男が、館全てを見通せるモニターを使って二人を
見ていた。
「先日の奴らもなかなか面白く見える。だが、
あの二人も…」


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