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ROUND2:「未知なる強豪」
作者 タイ米
大会の方は比較的、スムーズに行われた。
特に、京は大した相手と当たる事もなく、早々と決勝進
出を決めた。
「チッ。やっぱ、こんなもんか。今回は大門が参加してな
いから、紅丸の決勝進出は揺らがないかな…」
一人呟く京。
闘技場では早くも準決勝第二試合が行われようとしてい
た。
リングアナが前に立ち、選手の名を高らかに叫ぶ。
『それでは、東の方角より、シューティングの達人、二階
堂紅丸選手の入場です!!』
女性達の黄色い歓声に包まれ、紅丸はゆっくりとリング
に上がる。
(フッ。今日も上々だな…)
紅丸が女性達に投げキッスを飛ばす。
それに反応し、さらに女性達は大きい歓声を上げる。
これには、さすがの京も呆れていた。
『続きまして、西の方角より、孤高の空手家、リュウ選手
の入場です!!』
(リュウ?)
全く知らない相手の名前に、少々戸惑いを隠し切れない
紅丸。
呼ばれた赤い鉢巻の男、リュウが、リングに上がる。
歓声も紅丸のものよりは遥かに小さく、だが、本人はい
たって気にしてはいなかった。
(チッ、何だこいつ? イマイチ捉えどころがないな…)
リュウの表情を見た紅丸の感想である。
レフェリーの注意等を聞いている時でも、その表情は変
わらない。
(とりあえず、考えててもしょうがない。試合が始まった
ら真っ向勝負だ!!)
ニュートラルコーナーにつく二人。
試合開始のゴングが鳴った。
二人とも同時に駆け出していった。
先に相手の懐に入ったのは紅丸だった。
自慢のスピードを生かしたスタートダッシュが功を奏し
た。
「でやぁっ!!」
リュウの腹にボディを入れる。
が、辛うじてそれはガードされる。
「ぐっ、いいパンチだな…」
「パンチだけだと思うかい?」
「!?」
紅丸の拳が電気に包まれる。
体が痺れ、思わず、仰け反るリュウ。
「今だ! 一気に畳み掛けてやる!!」
迫る紅丸。
リュウの顔に紅丸のストレートが入る。
「反動三段蹴り!!」
紅丸の三段コンビネーションによる蹴りが続けざまにリ
ュウにヒットする。
何とか、ダウンを回避するリュウ。
しかし、紅丸は次の技のモーションに入っていた。
「よし、行ける!! 幻影…」
「させない!!」
リュウの目が紅丸の姿をはっきりと捉える。
彼の目はまだ生きている。
と、リュウは空中での連続回し蹴りで紅丸に襲い掛かっ
た。
「竜巻旋風脚!!」
「な!?」
回し蹴りが続けざまにヒットする。
仰け反る紅丸。
「野郎、やってくれるじゃねえか!!」
しかし、次の瞬間には懐にリュウの姿があった。
「は、速い!!」
紅丸の腹にボディを入れるリュウ。
それは、思った以上に重かった。
「ぐっ!!」
紅丸の口から血が噴き出す。
女性達からは悲鳴が漏れる。
京もこの状況を見て、穏やかではなかった。
(な、何なんだ、あいつ!? 紅丸をあそこまで追い詰め
るなんて…)
リュウの攻撃はまだ続く。
強烈なアッパーが紅丸の顎を襲う。
「調子に乗るなー!!」
何とかアッパーをカットする紅丸。
「俺は京と戦うんだ! こんなところで負けちゃいられね
えんだよ!!」
紅丸はリュウの首根っこを掴む。
そして、体中に電気を充満させる。
「喰らえ! エレクトリッガー!!」
紅丸の大技の一つ。
これをまともに受けたリュウ。
本人曰く、これを喰らってまともに立てた者はそういな
い。
渾身の力を込めて放った一撃はリュウをダウンに至らし
める。
観客席からも大きい歓声が聞こえてくる。
紅丸も、観客も、そして京もこれで終わりだと思った。
だが、その直後の光景に会場中の誰もが目を疑った。
リュウが立ち上がったのだ。
そして、ファイティングポーズを取る。
「馬鹿な! あの技を喰らってまだ立つだと!?」
一番驚いたのは誰であろう、技を放った本人だ。
手応えは確かにあった。
並の格闘家ならこれで終わっていたはず。
「こいつ…」
紅丸が再び構える。
そして、得意の速さでリュウの懐に潜ろうとする。
だが、リュウは既に紅丸の速さを見切っていた。
横に避け、隙間にボディを入れる。
苦痛に顔が歪む紅丸。
しかし、泣き言は言ってられない。
すかさず、攻撃を返そうとする。
だが、それは虚しく空を斬る。
その度に、重い反撃が襲い掛かる。
京は確信した。
リュウは並の格闘家ではない。
紅丸のエレクトリッガーを喰らってなお立てるあのタフ
さ。
短い時間で紅丸の動きを完璧に見切るあの洞察力。
そして、凄まじいほどのあの攻撃力。
紅丸はすでに立つだけで精一杯であった。
懐に潜るリュウ。
そして、彼のフィニッシュブローが炸裂した。
「昇・龍・拳!!」
強烈なアッパーカットが紅丸の顎を捉える。
そのまま、紅丸は天高く打ち上げられ、地面に強く叩き
つけられた。
「紅丸!!」
思わず叫んだ京。
自分のライバルが、再戦を誓い合ったライバルがこんな
所で倒れてしまったからだ。
「おい、起きろよ! お前はそんなところで終わる男じゃ
ないだろ! おい!!」
しかし、時は無情にも流れていき、レフェリーがテンカ
ウント数えた後も、彼は起き上がる事はなかった。
彼の女性ファンはこの光景にただただ呆然とするほかな
く、京もどうしていいかわからなかった。
彼らの時が止まっている中、リングアナから勝ち名乗り
を受けるリュウ。
あまりの出来事に、拍手を贈る者すらいない。
まさに、今世紀最初にして最大の番狂わせであった。
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