SNKvsCAPCOM
ROUND9:「サイキョー流地獄変」
作者 タイ米
全日本異種格闘技選手権が終わった翌日、さくらは
『シャドルー』の情報を得る為に、早速動いていた。
(頼れる情報網といったら、何と言っても、神月さん
だ。あの人なら、『シャドルー』についても、何かし
ら知っているはず!)
さくらが歩いていると、眼前にピンク色の道着を着
た男が現れた。
「よう、さくらじゃねぇか…」
「弾…さん」
火引弾。
さくらの実質的(?)な師匠でもあり、自身もサイ
キョー流空手と称して、道場の経営をしている。
「一体、どうしたんですか?」
さくらが尋ねる。
「実はよう、お前に頼みたい事があって来たんだ」
「頼みたい事?」
「そうだ。実は今すぐ、俺と一緒にアメリカに行って
もらいたいんだ」
「へぇ、アメリカ…ってアメリカぁ!!?」
このいきなりの発言に、さすがの彼女も驚いた。
「い、一体、何でいきなり…」
「ああ。実はな、ここ最近、俺らサイキョー流の真似
事をやってる流派が現れてな…」
「は?」
さくらは唖然とした。
確かに、気の出し方などは、弾に教えてもらったが、
でもサイキョー流に入った覚えなどこれっぽっちもな
い。
「でなぁ、そいつらを懲らしめる為にも、お前に一緒
に行ってもらいたいんだ…」
「そ、そんな急に言われても…。それに、懲らしめる
たいんだったら、一人で行けばいいじゃないですか!」
「そういうわけにも行かねぇんだよ。実は奴らと約束
こぎつけちまってな…。4日後に3対3の団体戦する
事になったんだよ!」
「だ、団体戦?」
「それで一人は決まったんだが、もう一人が決まらな
くてな。そこでお前の出番ってわけ」
「そ、そんな…」
「とにかく、これはサイキョー流の威信を賭けた戦い
だ! 負けるわけには行かねぇんだよ!!」
(約束といい、3対3といい、相手にとっては練習試
合って風に受け取られてるんじゃない?)
さくらが小声でボソッと呟く。
「あ? 何か言ったか!?」
「いえ、何でも…」
「そうか。よし、それじゃ、お前も支度あるだろうか
ら、出発は2時間後って事にしよう。家も近いんだろ?」
「え、ええ…」
さくらはチャンスと思った。
2時間もあれば、弾を巻く事も十分に可能だ。
だが、この後の彼の一言が、さくらを絶望に陥れた。
「それじゃ、一番弟子のお前に何かあるといけないか
らな。俺がつきっきりで警護をしてやるよ。感謝しろ
よ!!」
「え〜〜〜!!?」
「そんなに嬉しがるな。照れるじゃねぇか…」
(ち、違うのに…)
逃げる状況がなくなってしまい、さくらは心の中で
涙を流した。
数時間後、空港に到着した2人。
「飛行機の出発まであと1時間か…」
弾が空港の時計で、時間を確認する。
「あ、あのう、確か3対3で試合するって言ってまし
たよね?」
さくらが弾に尋ねる。
「ああ、そうだ。それがどうかしたか?」
「どう考えても二人しかいないんですが…」
「安心しろ。もう一人は既にこの空港の中にいる…」
「え?」
さくらが周りを見回す。
すると、周りの光景に明らかに浮いている、緑色の
肌の生物が一匹。
「ま、まさか!?」
「おお、いたいた。ジミー、ここだ!」
「ガウ!」
ジミーと呼ばれた生物は、こちらに向かってきた。
「弾さん。3人目ってもしかして…」
「そうだ! お前もよく知ってるジミーだ! これぞ
サイキョー流の最強の布陣!!」
空港中に高笑いを響かせる弾。
どう考えたって、彼は空手違うじゃん、とは口に出
せないさくらであった。
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