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ROUND10:「極限流vsサイキョー流」
作者 タイ米
アメリカ、サウスタウンにある極限流空手道場。
そこに、ポニーテールの青年が顔を出した。
「押忍。ロバート・ガルシアです!」
玄関から現れたのは、金髪のオレンジ色の道着を着た
男だった。
「おお、ロバート。待ってたぜ!」
「久しぶりやな、リョウ。先生から、道場に来いって言
われたから、来たんやが…」
「ああ。ちょっと大事な話があってな。ま、上がれよ」
リョウと呼ばれた男が、ロバートを手招きする。
道場内では、数十人の門弟、リョウの妹のユリ、そし
て、師範であり、リョウとユリの父親でもあるタクマが
いた。
「ユリちゃん、久しぶり!」
ロバートが大きな声を上げる。
「ヤッホー。久しぶり!」
ユリが返す。
このやりとりだけでも、ロバートにとっては幸せだっ
た。
何故なら、ロバートは密かにユリに惚れているからで
ある。
しかし、ユリの方は、その事を知っているのか知らな
いのかは、よくわからないが…。
「よし、みんな揃ったな…」
タクマが急に立ち上がり、皆の視線を自分に向けさせ
る。
「実は、今日の午後に練習試合を控えている…」
「練習試合?」
ロバートがこっそりリョウに尋ねる。
「まあ、聞いてなって…」
「相手はサイキョー流と名乗る空手の流派だが、知名度
は、ほぼ無いに等しい。しかし、だからといって、油断
は禁物だ。未知の強豪はこの世にたくさんおるからな…」
こうして、タクマの話は延々と続いていく。
「それでだ。試合形式は3対3。3戦行い、2勝した方
が勝利だ。我が極限流代表として…」
ここで、タクマがチラッと視線をリョウ達の方に移す。
「リョウ、ユリ、ロバート、お前達だ。今の極限流の強
さを象徴する3人といっても過言ではない」
「せ、先生! もしかして、練習試合の為にワイを…」
ロバートが尋ねる。
「そういう事だ。何かあるか?」
「いえ。ただ、相手がどんな奴らか、気にはなりますけ
ど…」
「そうか。一応、前もって、向こうの代表らしき人物が
交渉にやってきたんだが…」
その時だった。
「頼もう!!」
玄関の方から声が聞こえた。
リョウとロバートは、すぐさま玄関に向かった。
リョウがドアを開けた。
「あ、あんた達は…」
「チィ〜ッス。サイキョー流のもので〜す」
ロバートは愕然とした。
練習試合の相手が、明らかに女子高の制服を着た女子
高生、およそ人とは思えない獣、そして自分の顔をデフ
ォルメした感じのピンク色の道着を着た男だったからだ。
「こ、こいつらがワイらの…」
「おうおうおう! そこの俺の髪型真似た奴、そんなに
俺達が恐いのかい?」
ピンク色の道着の男が前に出てくる。
「恐かないわ! それに誰があんさんの髪型パクるかい!」
ロバートが言い返す。
「到着したか。少々約束の時間よりは早いが…」
タクマも玄関に現れる。
「何、あんたらを遠慮なしにぶっ潰せると思うと、どう
しても行動が早まっちまってねぇ…」
早くも、挑発的な発言をするピンク色の道着の男。
「お前ら、よく覚えておきな! ここにいる女子高生が
俺の一番弟子、『春日野さくら』。この緑色の肌をした
奴が、恩人の『ジミー』。そして、俺様がサイキョー流
師範こと『火引弾』様だ〜! 今日はどちらが『本物』
かをはっきりさせてやる!!」
弾が自分も含め、3人の紹介をする。
「おい、本当に練習試合なんか? どうも相手の様子見
てると、それっぽくないんやけど…」
ロバートが小声でリョウに尋ねる。
「そうか? 俺らに挑む奴らは大抵、こんな感じじゃな
いか? ま、そういう意気込みで臨んでもらった方が、
こちらとしても、やり甲斐があるけどな…」
「違いないわな…」
ここで、弾がリョウに尋ねる。
「それよりどうする? こちらはいつでもやる気満々だ
ぜ…」
「俺とユリはOKだ。ロバート、お前は?」
リョウがロバートに尋ねる。
「ワイもOKや。いつでも戦えるで!」
ロバートからもOKサインが出た。
「親父! 俺達はみんなOKだ。今から始めても大丈夫
か?」
リョウがタクマに指示を仰ぐ。
「ならば、よかろう。皆、道場に入って、すぐに始めぃ」
「よっしゃ!」
中に入るサイキョー流チーム。
道場内。
6人共、それぞれ軽く柔軟体操をする。
「よし、それでは始めようか…」
審判役のタクマが現れる。
「試合は完全決着制で行う。つまり、どちらかが戦闘不
能になるか、降参した時点で負け。それで良いな?」
「おう! その方が、どちらが強いかはっきりわかるか
らな…」
弾が返事をする。
「ヒュ〜、練習試合にしては過激やな…」
ロバートが呟く。
そこに弾が突っかかってきた。
「どうした。ビビったのか?」
「逆やな。むしろ、極限流にとっては好都合なルールや
で」
「ウチにとってもだけどな…」
弾とロバートの舌戦は続く。
「さて、話し合いはそれまでじゃ。先鋒、前に出ぃ!」
極限流側からはユリが、サイキョー流側からはさくら
が出る。
「ユリちゃん、負けるんやないで!」
「さくらぁ! んなやつ瞬殺してこい!!」
それぞれの応援が飛ぶ。
「それでは、構え!」
さくらとユリが同時に構える。
「…始めぃ!!」
今、極限流とサイキョー流の戦いが幕を開けた。
果たして、勝つのはどちらか…。
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