SNKvsCAPCOM
ROUND11:「さくらの不調」
作者 タイ米
さくらは乗り気ではなかった。
本当は、リュウを攫った『シャドルー』の情報を得る為、
神月かりんの元を訪れる予定だった。
しかし、その途中に現れた火引弾によって、何だかわか
らずにアメリカに連れてこられ、そして極限流という流派
の人と戦う羽目になってしまった。
こんな事をしている暇はない。
早く、『シャドルー』の情報を得なくては…。
さくらが、そんな事を思っている時だった。
ユリの拳が、さくらに襲いかかって来た。
辛うじて、ガードするさくら。
しかし、ユリの攻めは止まらない。
(し、しまった! 主導権を握られた!!)
「心ここにあらず、って感じよ! そんなんじゃ私には勝て
ないわ!」
ユリが一気に押し始める。
その度に、さくらは一歩一歩後退してしまう。
「何やってんだ、さくら! 相手の思う通りにさせてんじゃ
ねぇ!!」
弾のゲキが飛ぶ。
(わかってる。わかってるけど、なかなか立ち直らせてくれ
ないんだ!)
さくらは必死でガードを固めた。
だが、次の瞬間、足に激痛が走った。
ユリのローが、見事に決まったのだ。
(やばい! 下段攻撃にまで意識が回らなかった!!)
さくらの視線が、一瞬下になった時、弾の声が聞こえた。
「馬鹿野郎! よけろ!!」
我に返るさくら。
気付いた時には、ユリのアッパーカットが、さくらのガー
ドをかいくぐり、顎を打ち抜いていた。
「よっしゃ! ユリちゃんの空牙が決まったで!!」
ダウンするさくら。
想像以上に、今の攻撃が効いたようだ。
意識が飛びそうになる。
「君、立てるか?」
タクマがさくらに尋ねる。
「う、あ、はい! やれます!!」
何とか立ち上がり、再び構えるさくら。
「始めぃ!」
試合再開のコールがされた。
しかし、試合は依然としてユリペースだった。
この試合展開に、弾はさすがにイライラが隠せなかった。
「アンニャロウ! 何やってやがんだ!! 普段の思い切りさ
が全く出てねぇじゃねぇか!」
さくらの息が早くも荒くなってきた。
(こんな、こんなはずじゃ…)
さすがの彼女もだんだん焦ってきた。
その度に動きが少しずつ乱れ始め、攻撃を何発かもらってし
まう。
そして、大きな隙が彼女に生まれた。
その決定的な瞬間を、ユリは逃さなかった。
「見えた! 飛燕鳳凰脚!!」
無数の蹴りがさくらを襲う。
道場の壁に叩きつけられ、二度目のダウンを宣告された。
しかし、これは一度目のダウンとは訳が違う。
ユリの一番の大技が綺麗に決まったのだ。
そう簡単に立てるものではない。
それに、さくらの状態を考えれば、ここで終わりだろうと、
誰もが考えていた。
ただ一人を除いて…。
「立て〜っ! 立つんだ、さくら! お前、こんな所で終わっ
ていいのかよぉ〜!!」
弾が声を張り上げる。
「お前、この試合でまだ何もしていないだろ! 何も見せちゃ
いないだろ!! こんなところで終わって、満足なのかよ!?」
弾の声が微かにさくらの耳に届いた。
(だ、弾さん…)
「今のお前は不甲斐ないぜ! そんなんじゃ、かりんって女も
悲しむだろうよ! リュウにだってもちろん…」
(かりんさん…、リュウ…さん!?)
急にさくらの意識が回復する。
「お前、リュウ目指してんだろ! だったら、そんな戦いすん
じゃねぇ! いつものように、自分の全力を相手に見せつけて
やれ!」
弾の声に後押しされるかのように、さくらは起き上がってき
た。
この光景にはさすがのユリも驚いていた。
「飛燕鳳凰脚を喰らって、まだ立てるなんて…」
「そうだった。いつだって全力。それが私のスタイル。いつの
間にか、主導権を奪われて、カウンターを受けるのを恐がって
いた!」
態勢を立て直すさくら。
「それに、リュウさんは今、大変な状況で戦ってるんだ。私も
頑張らないで、どうするんだ!!」
さくらが自分の両方の頬を2回叩く。
「ユリさん。先程は見苦しいところを見せて、すいませんでし
た。ここからが本当の戦いです!!」
さくらが構える。
その目は、先程までとは違い、生き生きとしている。
普段のさくらの目だ。
ユリもそれに刺激される。
「どうやら、そうみたいね…」
「始めぃ!!」
タクマの再開の声が響く。
両者は同時に、動き出していった。
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