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ROUND14:「次峰戦」

作者 タイ米

 さくらは、重い足取りで、弾のところまで戻ってきた。
「よし! よくやった! 幸先いいスタートが切れたぜ!」
 弾が喜ぶ。
「そ、そうですか。良かった…」
 そのまま、倒れこんださくら。
「お、おい! さくら! そうか。試合で受けたダメー
ジが、ここで一気に出やがったか…。いずれにしても、
お前はきっちり仕事を果たしたよ…」
 弾にしては珍しく、優しい目で眠っている弟子を見る。
 そして、その目線を今度はジミーに移す。
「ジミー! こいつはやるべき事を精一杯やった! お
前も後に続け!!」
「ウォゥッ!!」
 通じてるかどうかは定かではないが、ジミーは返事を
した。

「気にするな、ユリ。今回の試合は、相手の精神力が、
お前の気迫を上回った。それに尽きる。圧倒的な差があ
ったわけではない」
「せや。いい試合やったで、ユリちゃん」
「ありがとう。二人とも…」
 元気なく、帰ってきたユリを、リョウとロバートは精
一杯励ました。
 とはいえ、完全に有利だった試合を、降参という形で
相手に献上してしまった事に、ユリは申し訳なく思って
いた。
「ユリ。言っておくが、試合はまだ終わったわけじゃな
いぞ」
「おう。ワイらが二連勝すればええ話や。だから、元気
出しぃや…」
 ロバートがユリの肩をポンと叩く。
「ロバートさん…」
「見ててや、ユリちゃん。ワイが勝って、かっこええ所
を見せたるさかい!」
 ロバートの笑顔を見て、ユリも普段の元気な表情を取
り戻す。
「う、うん! ロバートさん、頑張って!!」
 ユリの声援を受け、ロバートは颯爽と試合場へと向か
って行った。

(こ、これは、本当にいいのか?)
 タクマは今、自分が見ている光景に疑問を抱いた。
 対峙しているのは、愛弟子の一人であるロバートと、
緑色の肌をした生き物。
「サイキョー流チームの人。ジミーというのは、誰の
事だね?」
 タクマが一応、弾に尋ねてみる。
「ああ? おっさんの目は節穴か? そこにいるだろ
うが。一見、目立った肌している奴が」
 どうやら、彼が『本当』にサイキョー流の次峰を務
めるジミーのようだ。
 だが、この格好や姿勢を見る限り、本当に空手を使
うのか、疑問ではある。
「おっさん、まさか、うちのジミーを疑ってるわけ?
よく言うでしょう。見かけに騙されるな、て」
「しかし、これは空手をやる者の姿勢ではあるまい。
本当に彼は空手を使うのかね?」
「一通りの事は教えたさ。それに、ジミーにはジミー
なりのスタイルがあるっつうの。誰も彼もが同じじゃ、
堅苦しくてしょうがねぇだろ」
 そこにロバートが割って入る。
「先生。ワイも細かい事は気にせぇへんで。こっちも
極限流に多少のアレンジは加えてるさかい。ちょっと
やそっとの事じゃ、驚かへんで」
「ム、そうか。お前がそう言うのならば、わしも構わ
んが…」
「ああ、うざってぇ! おしゃべりはいいから、さっ
さと始めようぜ!!」
 弾が業を煮やす。
「うむ、よかろう。それでは次峰戦、サイキョー流代
表『ジミー』選手と極限流代表『ロバート・ガルシア』
選手の試合を始める。お互いに礼!!」
「よろしく頼んまっせ!」
「ウォゥッ!!」
 ジミーが叫んだ。
「ウ、ウォゥッやて!?」
 ロバートが急に驚く。
(ちょっとやそっとじゃ驚かんと言った癖に…)
 タクマは心の中で、そう呟いた。



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