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ROUND22:「新たな味方」

作者 タイ米

 さくらの意識が回復したのは、試合が終わった2時間後
の事だった。
 目が覚めると、そこには弾、ジミー、そして極限流の面
々が顔を揃えていた。
「あ、あれ? 皆さん…」
「良かった。気がついたか」
 リョウが安堵の表情を浮かべる。
「あの、試合は…」
「済まねぇ、さくら。お前が頑張って取ってくれた一勝、
無駄にしちまった」
 弾が、表情を暗くする。
「いえ、気にしないで下さい! 結果はともかく、私にと
っても、いい経験になりましたから…」
「そう言ってくれると、こっちも救われるぜ…」
 ここで、リョウが間に入ってくる。
「しかし、頑張ったとはいえ、ペース配分は考えるべきだ
な。無茶な戦法を取ったばかりに体力の回復が一番遅かっ
たんだ…」
「き、気をつけます…」
 さくらが下を向く。
「とりあえず、俺は君に聞きたい事がある」
「聞きたい事?」
 さくらがリョウの方に顔を向ける。
「見たところ、君は女子高生だ。ある程度の腕はあるとし
ても、修羅の世界に身を置く人間とは思えない」
「……」
「でも、何故だろう。君が試合の最後に見せた覚悟の目、
かつての俺と同じ目をしていた。命をかけて、何かをやり
とげようとしたあの目に…」
「え?」
「君みたいな子が、何故あんな目をする。それなりの理由
があると思うんだ。できれば、聞かせてくれないか?」
 リョウの目は、優しく、暖かかった。
 まるで、リュウのように…。
「私の憧れの人、リュウさんが『シャドルー』という組織
に攫われてしまったんです」
「『シャドルー』?」

 さくらは、事の顛末を全て話した。
「なるほど。攫われた人を救うために。やはり、俺と同じ
だな…」
「同じ?」
「君と戦ったユリも、実は悪の組織に攫われた事があるん
だ。その時は、俺とロバートも躍起になってね。どんな事
をしてでも妹を救い出そうと思ってたんだ」
「リョウさんにも、そんな事が…」
「今の君の気持ちはよくわかる。できれば、俺達も事件解
決に一役買いたい」
 リョウの発言に、さくらは驚いた。
「え、いいんですか?」
「ロバートが、財団の御曹司でね。世界各地の情報に関し
ては、かなり詳しいんだ」
「これから、財団のあるイタリアに飛ぶわ。そこで情報屋
から、『シャドルー』の有力情報について仕入れたる!」
「あ、ありがとうございます!!」
 ロバートの心強い言葉に、深々と礼をするさくら。
 予想外の味方の出現に、心の底から喜んだ。

 翌日。
 ロバートは一足先にイタリアに飛んでいた。
 弾、ジミー、さくらも日本に帰国するという。
「道場にいた方が、連絡しやすいと思うがなぁ。腕の方も
しっかりと鍛えてやるし…」
 リョウは帰る3人を名残惜しそうに見ていた。
「お気持ちは嬉しいですが、学校もありますし。一応、ロ
バートさんには連絡先を互いに教えあいましたから」
「そうか。また、何かあったらうちの道場を訪れてくれ!」
「さくらちゃん、また戦おうね!」
「はい。皆さん、お元気で!!」

 空港に向かう3人。
 その道中で、弾はさくらに言い寄ってきた。
「おい、さくら」
「はい?」
「リュウの話、全然聞いてなかったぞ…」
「弾さんが、話も聞かずに勝手に進めるから悪いんじゃな
いですか! 学校だって、何日か休む羽目になったし!」
「るせぇ! そうだったらそうと早く言え! 俺はこれで
も、聞き分けのいい大人なんだぜ!!」
「どこがですか! 何度も話したのに、頭の中は、極限流
の事でいっぱいだったじゃないですか!!」
「ああ? タイミングってのがあるだろ! タイミングが!」
「どこで話せばいいんですか!」
「ガウッ!」
「いてっ! ジミー、頭噛むな!! お前までさくらの味
方かよ!?」
 サイキョー流一行。
 口喧嘩をしながらの騒がしい帰国となった。



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