塗られた歴史と

ラウンド4「生き残り」

「ネスツ幹部、だと…」
その言葉にK’は耳を疑った。
「バカな!ネスツはKOFの大会で壊滅…まさか…!」
「『生き残り』という言葉に気づいたようだな。
K’よ。その通り、私は組織ネスツの生き残り、そして、
今亡きイグニス様に代わり、ネスツ再興のために
再び表舞台に戻ってきたのだ!」
ジーク、彼はネスツの中でも選り抜きの精鋭だった男で、
地上でテロを行っていたのだが、ネスツの崩壊を知って
からは、姿をしばらく消していた。
だが、最近になって、ネスツ再興のために活動を再開した
ようなのだ。
「ふざけんな…てめぇもネスツなら、そんな行動
とるってんなら、片付けるまでだ!いくぞ!」
「うんっ!」
サングラスを外すK’。冷気が周りに集まると同時に
髪の色が水色に変わるクーラ。
「うおらあぁぁぁっ!!」
強烈な炎を右手から放つK’。ジークは動きを見せない。
「その程度の炎、見切っている」
ジークがそう言っていた次の瞬間、炎を潜り抜けて現れた
者がいた。
「えやあっ!」
クーラがクロウバイツで向かってきていたのである。
(炎は『フェイント』…でもないようだが。だが甘い!)
クーラのクロウバイツを蹴りでカウンターするジーク。
「きゃあうっ!」
K’のほうに弾き戻されるクーラ。
「貴様はそんなに弱いのか」
挑発をするジーク。
「てめぇ…終わりにしてやる!」
「K’!だめ、敵の挑発にのっちゃ…!」
「うぉぉぉぉぉぉぉ…」
クーラの言葉は聞こえていない。K’の体中に、炎が
集まっていた。
「くらいやがれぇぇっ!」
体中に集まった炎のエネルギーを、ジークに向けて
放射した。
だが、ジークは口元が緩んだ。そしてそのエネルギーを、
片手で止めたのだ。
(なに…っ)
「これが、イグニス様を殺した奴の実力か…?
弱い…弱すぎるぞ!」
ジークは、さっきのK’のエネルギーを、ボール状に
変えて立っていた。
その顔に黒い笑みも。
「この力、返そう!はっ!!」
ジークがボールを投げた時、港近くで爆発が起きた…

その頃、リュウはベルジンの家にいた。
ベルジンが、格闘家のリストと、夕飯を用意してくれると
いうので、ここにいるのだ。
ベルジンは、パソコンを使って格闘家たちのデータを
集めているらしい。その中で、彼がリクエストした
人物の名前に、
「草薙……京?」
その人物の名前にリュウは首を傾けた。
「なに、草薙京を知らないのか?あんたもまだ、
井戸の中のカエルだな。
『キング・オブ・ファイターズ』略してK.O.Fっていう
3人1組の格闘大会の94年大会からの常連でな。
日本チームとして4年連続で優勝してる。
4人制になった99年と2000年は出場してないらしいが、
2001年大会は再び日本チームを結成したんだと。結果は
準優勝らしいけど」
パソコンの画面に目を見やるリュウ。
「こいつの実力はどんなものか、知ってるのか?」
「…知ってるもなにも、俺は95年大会の予選で、こいつと
闘ってるんだ。俺は99%勝てると思ってたんだが、
結果は惨敗。『ふっ…あんたじゃ燃えねぇな』なんて
言われたしよ、俺が井戸の中のカエルだったんだよ」
その言葉に、リュウは闘争心が心の底から涌いてくるのを
感じた。
これは…かなり強い奴と闘える!
「今、そいつがどこにいるか、解るか!?」
拳を強く握りしめながら出る、『闘いたい』という意味の
言葉。
「ああ、バッチリだ!」

「あの野郎…何がなんでも倒す!」
自分の炎を食らうとは思っていなかったK’。そして
クーラ。K’はジークの言葉と、去っていった方向の記憶
が鮮明に残っていた。
『私を倒したくば、追いかけてくるんだな。もっとも、
死んでも無理だとは思うが…』
御丁寧に、地面に光弾を打って跡を残してある。
「だめだよ…そんなケガじゃ」
「うるせぇ…奴にはケリをつけねぇと、俺の気が
おさまらねぇ。お前はここで待ってろ!」
K’はそれだけ言うと、目にも止まらぬ速さで走り去って
しまった。
「…K’、大丈夫かな…」
立ちあがった少女は彼を待つ。彼の無事を信じて。



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