血塗られた歴史と炎
ラウンド5「あいまみえる」
桐生は走っていた。どこかを走っていた。
京のいる場所へ。
「待っていろ…草薙京!」
「そうか…ここに、草薙京がいるのか…」
こちらはリュウとベルジン。京の修行場所を確認して、
いよいよ闘える、という気持ちになっているリュウ。
「すぐに行く気か?」
ニヤリとした笑みを浮かべながら問うベルジン。
二呼吸ほど時間を置いてうなずくリュウ。
「世話になったな。また闘ってくれ!」
そう言うと、リュウは荷物と一緒にベルジンの家を
あとにした。
まだ見ぬ強敵を求めてー…
「行ったか…さて、パソコンも開いてることだし…」
リュウが視界から完全に消えたことを確認した
ベルジンは、ホームのトップに戻ると、こんな名前の
画面に入った。
くさなぎきょうくんちのさいなん
さく ベルジン・リカード
「ぶえっくしゅっ!!!」
今は枝だらけだが樹々の多いところ、
目前には滝の見える場所。環境は最高だ。
その最高の環境で、出たのがあくびではなく
くしゃみとは。
「…?なんだ?…はくしょいっ!」
再び、そしてもう一度大きいくしゃみが出てしまった。
「……風邪…はひいてねぇ、よな。俺。てことはなんかの
前ぶれか?まあいいや。んなこたぁ放っといて、修行だ」
京はややめんどくさそうにそう言うと、木の1つに
向かって荒咬みをぶつけた。
その一撃は、その木を黒くし、回りの木を大きく
振動させた。
「…まあ、こんなもんか。さて…帰るか」
そう言って彼が自分の修行場に背を向けたとき、
『闘い』は始まった…
炎が地表を走ってきたのだ。
紅い、紅い血の色をした炎が。
「!!」
当たるか当たらないかのところで炎にみぎり穿ちを
出して炎を打ち消した。
「八神…!?じゃねぇな。誰だ!」
京が辺りにそう言い放ったとき、炎の主は
どこからか姿を現した。
「うるせぇ奴だなぁ…草薙京。そんな大声出すと、
早死にするぜ?」
「…うるせぇ。んな事より、お前は誰なんだ?
…………人の修行のジャマしやがって」
「俺は…桐生 功。と言うんだが。」
桐生の拳に炎がともる。
「!てめぇも、炎使いなのか…」
京も炎を拳に噴きださせた。
「そういうことだ、な。そして俺の目的は、
草薙京!お前を殺すことだ!!!
この炎でな!」
聞きなれたこういう言葉だが、『アイツ』
とは違う感じがした京。
『闘い』の言葉一つで、気持ちが踊りだしそうだった。
「…ヘッ、そいつはご苦労なこった。
おもいっきり相手してやるよ…」
京は炎を握り潰すと、ポケットに入れてあったバンダナを
頭に締めた。
「いくぜ!」
「…殺させる前に、少しは楽しませろよ」
一方の桐生も炎を潰す。
時は夕刻、滝は二人を見ているうちに
黄金色に染まっていた。
「うらぁぁっ!」
「はいやっ!」
二人の勝負はほぼ互角だった。京が桐生を殴れば、
桐生が京を蹴る、等の繰り返しであった。
いや、具体的にいえば、わずかながら京のほうが優勢だ。
「ぶっとばしてやらあっ!!!」
「くらえいっ!」
京のヒキ鉄と桐生のヒキ鉄がほぼ同じタイミングで
出た。クロスカウンターとなる。
二人はそれぞれちがう木に、自分のではない炎を
まといながら背中を打ちつける格好となった。
打ちつけた衝撃で木は轟音を立てながら折れた。
「へへ…中々やるじゃねぇか。だが、お前は俺には
かなわない。降参しろよ」
京がそう言ってるその時、桐生は肩を震わせて
笑っていた。
「……ククククク……フフハハハハ……降参?
それは……今の時までの話だ…。」
「なんだと!?」
「今度はお前が降参という名の恥を知り、そして
死ぬ番だ!こい、ジーーク!!」
桐生がそう叫ぶと、いきなり木が1本、一刀両断
されたかのごとく真っ二つになった。そして…
「草薙…京…か…元、モルモットの…」
倒れた木の向こうには、ジークがいた…
ラウンド6に続く
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