時を駆ける青年
第二話〜出会い〜
作者 クラッシュさん
| 「ゼェ…ゼェ……」 ここはいつも市川さんに修行してもらっている、空き地です。僕は白い息を吐きながら、市川さんに組み手をしてもらってます。 市川「おいおい…、バテたのか?」 龍一「ハァ…ハァ…、まだ……、大丈夫です。」 市川「…組み手終了だ。完全にお前は疲れてる。」 龍一「へっ!?待ってください!僕まだやれますよぉ!(ゼェゼェ……)」 市川「お前は基本的な体力がない。そんなんじゃ、室伏には追いつかないぜ。ってな訳で、お前、明日から走って学校行け。」 龍一「えっ?走ってですか?僕、いつも遅刻寸前なので走ってます。」 市川「……自慢するな。」 龍一「いやぁ…」 市川「なら、明日から、このメニューだ。」 そう言うと市川さんはポケットからメモ帳を取り出した。そして、市川さんはメモ帳を開くと「平日スケジュール」と書かれたページを見せた。そこには、朝6時から始まって、10時に終わるスケジュールだった。 市川「お前は学校での授業と飯食う時と寝る時以外の一時の休息も許さん。」 龍一「へっ?どういう意味ですか?」 市川「お前は走れ。とにかく走れ。昼休みも放課後も暇な時間は全部走れ。」 龍一「えええぇぇ!!そんなぁ!!」 市川「お前には監視役をつけておく。絶対にさぼんなよ。」 龍一「そんなぁ……。」 そして、地獄の猛特訓は始まった。 ・ ・ ・ ある時は川原を!! ・ ・ ・ ある時は運動場を!! ・ ・ ・ ある時は家の周りを!! ・ ・ ・ とにかく走った。少年は走り続けた。 しかし、ある日の昼休み。少年は思った。すでに走り込みを始めて二週目だった。 龍一「(ただ走ってるだけだと、つまらないなぁ。そうだ、バスケの仲間に入れてもらおう!)」 少年は知識も手に入れたのだった。彼は父譲りで地道な事は嫌いではない、楽しみながら努力することは、もっと好きである。 龍一「あのさ…バスケ一緒にやらせてほしいんだけど。」 少年「いいよ。じゃあ、裕二君のチームな。」 龍一「裕二君?」 少年「あの子だよ。」 そう言うと裕二と呼ばれる少年が僕の方に向かって来た。 裕二「よろしくな、えっと…名前は?」 龍一「室伏龍一って言うんだ。初めまして。」 僕は6年間この学校にいるけど、運動場で運動なんて、体育の時と市川さんに「走れ。」と言われた。あの日からである。裕二と呼ばれる子は多分、「外」型の子なんだろう。昼休みのあとによく帰って来るのを見たことはある。僕は体育でバスケをやったことがあるからなんとなくわかる。得点は僕が来た時には、「5対4」だった。僕が入ったチームは負けていた。 裕二「誰か!!助けてくれ!!」 裕二はボールを持ったまま二人に囲まれていた。 龍一「パス!!」 龍一は急いでヘルプに向かって行った。裕二は綺麗なパスを出して、龍一はそれをキャッチした。 龍一「!!」 龍一の目の前には、残っていた3人がこっちに向かってきていた。しかし、 少年「うわっ!!速いぞ!!こいつ!」 龍一は初心者らしからぬ、「フェイク」でいとも簡単に3人を抜いていった。そして、走ってゴール下まで来たが止まった。 裕二「あれ!?なんで、止まるんだ!?」 龍一「えい!」 龍一の見事なゴール下シュートは綺麗な弧を描き……… ……外れた。(リングにもふれず) そこで学校のチャイムもいいタイミングで鳴り始めた。 キーン…コーン…カーン…コーン…… 裕二「バカァァー!!!」 キーン…コーン…カーン…コーン…… 龍一「あー…僕のシュート、惜しかったね。」 裕二「惜しくもない!はあ……まあ、いいか。でも、ドリブルとかフェイク格好良かったぜ!お前、どこに住んでるんだ?バスケとか経験もあるのかよ!?」 龍一「いや、えっとね……」 僕は裕二君の質問に一つ一つ答えて行った。授業後は僕の所に来て、なにやら、僕の家にもついてきた。裕二君はとても面白く、すぐに意気投合できた。裕二君には、父さん母さんの話をして、市川さんの話もした。裕二君は興味深々に聞いてくれて、次の休日は裕二君も一緒に市川さんの所に行くことになった。 僕はとても楽しみです。 続く |