時を駆ける青年


第三話〜背〜

作者 クラッシュさん


土曜日……龍一と裕二は、市川のもとへ修行をする為に急いだ。

龍一「裕二君!早く行こう!」
裕二「待ってくれよ。お前は足が速いんだよ!」
龍一「アハハッ、速いものは、しょうがないでしょ?」
裕二「しょうがねぇなぁ……って、しょうがなくない!!止まれ止まれ!!」
龍一「なんで?」
裕二「全くよぉ、俺はお前と違ってデリケートなんだって!」
龍二「だって、走らないと修行にならないでしょ?」
裕二「はぁ?ま、まさか……」
龍一「修行はもう始まってるんだよ。」
裕二「何ぃ!!?………もう、いやだぁ!!」
龍一「心配無用だよ!もうここだから。」
裕二「ヲイ!!」

龍一達が市川家に着いた時、凄い音と声が聞こえた。

ドガッ!!!ガッガッガッガ!!ガス!!「おおおおぉぉぉぉ…!!」ガッ!!ドゴォォン!!パリ……パリ……ピッシャァーン!!「ぐわぁっ!!チィッ!!」ゴォォ!!ドゴッ!!「くらえぇぇ!!!」ゴゴゴッ!!ドゴォォーン!!

裕二「なっ、なんだぁ!!?」
龍二「し、知らない。でも、市川さんの声。」
裕二「急ごうぜ!!何かあったのかも!!」

■市川家・裏庭
龍一達が来たとき、市川と背の低い男とがぶつかり合っていた。

男「らぁっ!!セイッ!!セヤァッ!!おりゃぁ!!」

男は素早いパンチを連続で繰り出していた。そのパンチは市川を壁に追いつめていった。しかし、市川は男が一瞬、回し蹴りの構えをしたのを見逃さなかった。

市川「チィッ!!」

市川は男の蹴りを嫌がるように前転でよけた。男の蹴りは木に当たり、木は倒れた。

市川「おおぉあぁ!!」
男「うわぁぁぁぁ………!!」

市川は激しい電気を手にまとい、男をを殴りつけた。男は吹っ飛ばされ、地に倒れた。

市川「ハァハァ……、相変わらず、怖い技だ。」
男「いつつ…ったくよ。お前にはかなわないぜ。」

市川と話していた男は龍一の見たことがない男だった。

裕二「あのオッサン、背が低いのに、凄いキックだな。」
龍一「背が低い…?」

龍一の頭に

「背が低いくせに、シャレにならないほどの力がある」

と言う何度も聞いた言葉が過ぎった。
あの男の人は木原武士さんだ。父や母にタコができるほど聞いたことがある。

木原「ん?誰か来たぜ?」
市川「お?龍一!よう!!……ん?誰だ?そいつ。」

市川さん達は僕たちに気づいたようだ。

龍一「おはようございます。この子は僕の友達で、裕二君です。」
裕二「お、おはようございます。はじめまして、ゆ、裕二です。」
市川「そうかそうか。友達か。」

市川さんは僕たちに微笑んだ後、木原さんに僕を紹介した。

市川「こいつが室伏の息子の龍一だ。」

市川さんがそう言うと、木原さんはこっちに走ってきた。

木原「おおぉ!!こいつが、室伏の息子!…奴と違って目が青い、可愛らしい、肌が綺麗!!あ、子供だからか。どっちにせよ、あいつよりも、男前だな。」

木原さんは僕と父さんを比べているようだ。僕はあせったけど、一言しゃべった。

龍一「き、木原さんですか?」
木原「ああ、そうだ。俺が木原だ。」

木原さんは微笑んで僕に答えてくれた。

木原「智也!俺は一回帰るぜ。後でまた!」
市川「了解!また、あとでな!」

木原さんは僕の頭をなでて、帰っていった。

市川「懐かしい拳だったぜ。木原……」
裕二「凄いオッサンだったなぁ。小さいのに。」
市川「オッサンって、お前、俺だって同じ年だ。」
裕二「そうなんですか?」
龍一「うん、木原さんと僕の父さんは同じ学校で、一緒に大会にも出たことあるんだよ。」
裕二「へぇ…ところで、なんで、こんな庭で闘ってたんですか?」
市川「組み手さ。俺は木刀使ってたが……あいつ、また強くなった。」
龍一「木原さんも強かったんですね。」
市川「ああ、俺の技よりも破壊力はあるぜ。ただ、さっきのように一瞬の隙が大きいんだ。だけど、背が低いからなのか、結構速いんだ。奴をとらえるのは一瞬を見極めるしかない。集中力も体力もいっぺんに使っちまった。ってな訳で、午前中は全時間、自習!午後は用事があるから5時まで。」
龍一「へっ!?い、市川さん!」
裕二「えー!?いい加減な男!」
市川「いい加減で結構さ。ふあぁー…おやすみぃ。」

僕たちは午後は市川さんに教わったが、5時にはやめさせられ、何故やめさせられたのか、僕達には、わからなかった。今日も市川さんの家に泊まっていった。


続く


 

第4話に続く
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