時を駆ける青年


第七話〜1788〜

作者 クラッシュさん


次の日…
この日は平日だったが、龍一達は学校を休んで(サボって)市川家に向かった。

龍一「ふぅ…着いたね。」
裕二「ヘッへー。学校もサボれるし、タイムワープできるし最高だな!」
龍一「でもさ、裕二君。その荷物…何?」
裕二「スナック菓子、チョコレート、ガム、弁当!」
龍一「え、遠足?」
裕二「そう言うおまえは何持ってきたんだ?そのでっかい荷物。」
龍一「着替え。」
裕二「……おまえには遠足とか突っ込まれたくねぇよ……。」
市川「おう!来たなー!」

市川はハイテンションだった。いつもの「かっこいい」「冷静」(?)の市川とは違い妙にテンションが高い。

市川「ほらほら、はやくしろぃ!もう出発できるんだぞ!」
龍一「えっ!もうできるんですか?」
浜崎「うむ、最終チェックも終わっておる。」

浜崎が市川家の車庫の中から出てきた。

浜崎「ふっふっふ!年代も入力しやすいように「テレビのリモコン」っぽくしておいた!」
裕二「よっしゃー!出発ぅー!!!」

裕二は全く聞いていなかった。すでにタイムマシンの後ろの席に乗り込んでいた。龍一も助手席に乗り込むところだった。

市川「操縦は俺に任せておけ!」
龍一「市川さんが自信満々に言うって事は、完璧なんですね?」
市川「ああ、今日の朝に操作方法を大体教わったからな。」
裕二「で、どの年代に行くんです?」
市川「1788年!伝説の剣豪が「魔」を斬った年だと、その巻物に書いてある。」
龍一「「魔」ってなんでしょうね?」
市川「さあな。妖怪みたいなもんじゃないか?」

市川は準備を整えながら、龍一の質問に答えた。

浜崎「ガソリンを荷台においておいた。あっちでなら、これで2qは走れるはずじゃ!」
裕二「おっ…気が利くなジジィ。」
浜崎「誰がジジィじゃ!!」
市川「浜崎、サンキュー。じゃあ、行くぜ!龍一、窓閉めろ!」
浜崎「よい、旅をしてくるのじゃぁ!」
龍一「行ってきます!」

龍一が窓を閉めた時、すでに市川はボタンを押していた。

市川「行くぜっ!」

ブロロロロロロロ……!!!
市川はタイムマシンを動かした。そして、ついに…
ピッカァァァァァァ!!!!ドガァァァァァン!!
激しい光と音と共に目の前の風景が一気に変わったがその先にあったのは悲鳴だった。

龍一・市川・裕二「うわあああああぁぁぁぁ!!!」
ドン!!

目の前に現れたのは木だった。そして、反射神経がいい市川でもさすがに反応できなかったようだ。タイムマシンは木に激突し、皆、衝撃で気絶してしまった。
そこに現れたのは一人の少女だった。その少女は15〜17歳ぐらいの若々しさがある。髪の毛は肩ぐらいまであり、ちょっと古ぼけた着物を着ている。さっきの木にぶつかった大きな音がタイムマシンの場所を少女に教えてくれたのだろう。

龍一「ぅ…痛ぇ…あ、市川さん!?裕二君!?」

龍一は頭のたんこぶを押さえながら、市川や裕二を気に掛けた。それが彼の優しさなのかもしれない。確かめたところ、2人共、息がある。龍一は安心して、椅子によりかかった。

龍一「よかったぁ……。ん?」

さっきの少女がタイムマシンに話しかけている。少女は見たこともない「生き物」と思っているのかもしれない。龍一は急いで表に出た。

ガチャッ!

少女「キャッ!!」
龍一「あ、安心してください!俺達、怪しい者ではありません。」

少女は龍一を見回していた。

龍一「あ、あの、中に人がいるんです!ど、どこか休む場所などはありませんか?」
少女「え、だったら、家で休んで行ってください。」

龍一の礼儀正しさが少女に味方したのか、服装を見ても彼女は「怪しい者」と思わなかったようだ。ここにいる無神経な市川や裕二では、当然、無理だっただろう。

龍一「ありがとうございます!」

龍一は礼儀正しく礼をすると、急いで、市川達を運ぶ準備をした。

続く


 

第8話に続く
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