翼の拳
〜Fists of Wings〜
第27話
作者 タイ米
火神探偵事務所。
なのはと政樹はここにいた。
政樹がなのはに紅茶を出す。
「ほいっ。あんまり綺麗なとこじゃないけど、人目もつかないし、しばらく
なら身を隠せるだろう…」
「あ、ありがとうございます」
礼を言うなのは。
「いいって。それより聞きたいことがある…」
「え?」
「『暦』の狙ってる君の『力』とは何だ?」
政樹の問いかけにドキッとするなのは。
「本当なら、君が落ち着いてるときにじっくり聞きたかったんだが、そうも
いかなくなったみたいなんでな…」
政樹が向かいのソファーに腰掛ける。
なのはは言っていいものか迷った。
だが、今はそんな状況ではない。
なのはは、翼の拳についてありのままの事を話した。
「…なるほど。あの炎虎をも倒すほどの力を持つ拳だ。奴らが欲しがるのも
無理はないかもしれない」
政樹は、天井を見てつぶやく。
と、今度は逆になのはが問いかける。
「あの、探偵さんが言ってた『暦』の事、もう少し詳しく聞かせてもらえま
せんか?」
突然の問いに今度は政樹が驚く。
「お嬢ちゃん…」
「私にも関係がある問題だし…」
しばらく沈黙した後、政樹が口を開く。
「よし、いいだろう。といっても俺もそんなに奴らの事を知ってるわけじゃ
ない。まだまだ謎の部分が多くてね。一応、話せる所まで話しておこう」
「お願いします…」
ボンッ!
邪悪な力を秘めた気弾が夏香を襲う。
すんでのところでガードする夏香。
しかし、それでもダメージは結構なものだった。
「さすがは秘密兵器といったところかしら。一筋縄ではいきそうもないわね」
「そういうお前は腕でも鈍ったか。"疾風怒涛の葉月"の力、そんなものでは
ないだろう…」
零が表情を変えることなく言い放つ。
「確かに…ね。やっぱり見せなきゃだめかしら?」
夏香の周りの空気がざわめきはじめる。
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