翼の拳
〜Fists of Wings〜


第42話

作者 タイ米


「うん。きっとなれるよ!」
 カスミの問いに対するなのはの答え。
 それを水鏡を通して見るフォリン。
「フム。どうやら、彼女は一つの試練を乗り越えたようですね…」
 彼は満足した様子であった。
「彼女は精神的にも強くなった。これで、私達の『希望』はさらに高まった」
 再び水鏡を見る。
 今度は黒い部屋を映し出していた。
「さて、彼らも本格的に動くことだろう…」

「力のデータ収集に成功したようね」
 鵺がアルシャンクに言う。
「何とかな。これで大会には間に合うだろう…」
 答えるアルシャンク。
「彼女にも大会の招待状を届けるんでしょう? もうやったの?」
「いや、これからだ。この大会で我々の作戦を本格実行させる。
 そう、『地球停止作戦』を!!」

 葉月の事件から一週間が経った。
 カスミは道場を去り、政樹も暦の調査を続ける為、なのは達の元を離れた。
 夏香は相変わらずなのはの側にいたが…。

「ふう。今日も授業で疲れちゃった…」
 なのはが学校から帰ってくる。
 その際、家のポストから郵便物を受け取る。
 その中に、なのは宛の封筒があった。
 中身を見るなのは。

『S−1グランプリ 招待状』

「S−1グランプリ? まさか、格闘大会!?」
 驚くなのは。
 当然だ。彼女は過去に炎虎を破ったとはいえ、実績は皆無。
 知名度ももちろん皆無だ。
 そんな彼女に招待状が…。
 疑問を抱くなのは。
 そこに現れた夏香。
「どうしたの? なのは」
「あ、夏香。何か、私宛に格闘大会の招待状が届いてるんだけど…」
「え!?」
 招待状を見る夏香。
 どこか見覚えがある。
 どこか…。
 その時、夏香はある男の顔が思い浮かんだ。

 ヘルメス。

「そういえば…」
「ん、どうしたの? 夏香」
「あ、ちょっとその招待状に心当たりがあってね…」
「え?」
 なのはの手にしている招待状。
 それこそ、一週間前に自分がヘルメスから受け取った『カボチャの馬車』であった。


 

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