KOFXXオリジナル小説
一月の蒼い月

04

作者 蓮華


「私、が……?」

暁の話は聞いていたものの、実感が湧かない。そして自分は過程をすっ飛ばした吸血鬼であると言うこともだ。
吸血鬼になってしまったと言うことは納得するしかなかったのだが、例えて言うなら大学をスキップしたとか
それよりも低確率のようだ。送られてきたファックスを暁はめくった。

「この街に来た吸血鬼について調べて貰った。教皇庁だ。知り合いがいるからな」

「……教皇庁、ヴァチカンね。あそこは吸血鬼退治では古いから」

「教皇庁……カトリックの総本山が、そんなことをしているの……?」

「してる。で…調べたところに寄るとそいつの名はイスルート……教皇庁でも危険度S級…或いは
それ以上でマークされていて異名は魔王黒髪に紅い瞳の圧倒的威圧感を持つ奴だそうだ」

黒い髪に紅い瞳、圧倒的威圧感。そう聞いて夕陽の身体が震えた。イスルート、奴はそんな名前だったのか。
寒気がまた、蘇ってくる。奴に睨まれた時の寒さがやってきた。コーラルが心配そうにしている。

「良く解ったね。そんなにあっさりと、吸血鬼だって人間よりは少ないけれど多いんだろう」

「この街で聖痕機関とイスルートが闘いあったそうだ。聖痕は十四人中九人を投入して生き延びたのが一人だけ
……何とか倒せたようだが」

「聖痕機関?」

「教皇庁の機関。警察で言うSWATみたいなもの……今、大混乱ね。教皇庁は」

聖痕機関は教皇庁の機関で十三人+予備の一人で構成されている悪魔を祓うのではなく、殺す。
対悪魔だったら小隊一つ分の威力は最低でも持っている聖痕機関の人間を九人投入して生き残ったのが
たった一人だけというのはイスルートという吸血鬼がどれだけ強いのかというのが解った。
教皇庁には他にも対悪魔用の組織があるが、聖痕機関以上の働きは出来ないだろう。
すぐに解ったのは知り合いが教えてくれたことと、大規模な事件だからだ。ホテルの窓から見える夜景を
夕陽は見たが、変わらないように見える。この街で吸血鬼と聖痕機関とか言う機関が闘いあったなんて
誰も知らないだろう。

「私も……殺されるの?」

「見つかったら殺されるな。吸血鬼は親を殲滅した後が本当の勝負だ。さっきも説明したように
吸血鬼は一部の死体に自分の血を残す。子供みたいなものだな、子供が血を吸う。まあ、お前はそれを
すっ飛ばして吸血鬼になったわけだが……」

暁が言うと、夕陽はまた、泣き出した。コーラルが暁を睨む。
吸血鬼になってしまったことで夕陽は化け物になり、人を殺した。太陽の光の下だって出られない。
両親にも会うことが出来ないし、学校にも通うことが出来ない。当たり前のように過ごしてきた
日常をもう過ごすことが出来なくなってしまったのだ。

「女通しにしておいた方が良いよ」

白兎に言われて暁は従うことにした。自分が居ても仕方がないと判断したのだ。コーラルの部屋から出て行こうとする。

「……フォローにはならないが、吸血鬼としてなら良い線いけるだろうな」

小声で言うと暁は部屋を出て行く。泣いている夕陽をコーラルが慰めていた。


 

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