目立たないのが目立つ男
〜縁の下の力持ち〜


第9話


「くそぅ!!あいつら、俺を無視しやがってっ!!」

前回、無視された青島は勢い良く店のドアを開ける。

「いらっしゃい。」
「御邪魔しました。」

青島は立ち去った。「絶対、殺されるっ!!」そう感じたから。

「ままままままままま、眉、無かったもんなぁ〜………」

青島は目を擦った…。

深呼吸……。
ラジオ体操、第2…。
歌…。
オルアァ……。(意味不明)

落ち着く行為を全てやった。(道ばたで真似して警察を呼ばれないように)

「よ、よし、入るぞ。……オルアァ!」

ドアを開ける!
店内を見る!
室伏達が居る!
眉がない…
ドアを閉める!

「やっぱ、怖い。」

青島は涙目になった。
こいつ、バレーボール選手なのです。
指は切られたくないのです。

もはや、こいつが「目立たないのが目立つ男」になってしまっていた。

「クッソー、これは、カラオケに行くまで外で待つしかない…」

オレンジの髪のバレーボーラーは弱気だった。



…一方、木原達。


「(目の前に、目の前にいる…)」
木原の心臓は高鳴っている。


杉本と言う娘は他の女子と話している。

木原がこの娘が好きなのは「顔」が可愛いと言ういい加減な理由ではない。
彼は室伏と違い、「可愛いなら良い」と言う考えは許さない。

彼女が好きなのには、それなりの理由があった。
木原は思い出した。あの日の事を…。

「なあ、木原。」
「えっ?なんだ?室伏?」
「…話しかけなくていいのかよ?」
「だ、だってよぉ〜……」
「ためらうなって!!ほら、よく言うだろ?『ためらいを焼き尽くせっ!』」
「KOFの草薙 京か?っつーか、よく言わないじゃん……」
「うるせぇ!!ツッコミ入れる暇あるなら、話しかけろぉっ!!」
「んな、無茶な事を……」

室伏の方が何故かテンションが高い。
親友を思ってのことなのか…とにかく、室伏が熱い。

「わ、わかったよ……よ、よーし。」

木原は杉本に目をやった。

すると、彼の心の中で何かが吹き出てきた…。


悪い思い出なんかじゃない…

あの時の事が……


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