Fists of Wings・番外編
真夏のように〜真紀と夏香〜

■5■

―2―ファイト開始!


 真紀は、やや半眼であったが、大きく息を数回吸い込むと再び冷静に戻ったように口を開く。

「……では、この話は打ち切るとして、少々武器解説をしましょうか?」

「武器解説?」

 と、暇を持て余しているのか準備体操をしている夏香が答える。

「夏香さんの技は研究済みです。
 ところが夏香さんは私のこの兵器に関して、まったく知識がありません」

「そりゃ、そーだ」

 屈伸しながら夏香が答える。

「これではフェアであると言えません。ならば、貴方にも知る必要があります。
 聞きます?」

「あ、別にいいや」

 身体を左右に回している夏香が答える。
 そして、その場で一回転ジャンプをすると、拳を真紀に向けた。
 あくまで不敵な笑みを浮かべる。

「だって、勝てるからね」

 先ほどの解説の隙を付いて、先制攻撃も仕掛けられたはずである。
 それをしなかったのは、わざわざ待っていたのである……あまりに長いので省いて貰ったが。
 これは彼女が持つ自分自身への絶対の自信の表れでる。
 夏香が持つ尊大とも思える深く根ざした己への信頼。
 彼女の強さの秘密でもあり、弱点。
 それこそどんな無謀な戦いでも……たとえ相手が全能の神だとしても……彼女は『死ぬまでへし折れない自信』、しいては『覚悟』を持っているからである。

「なるほど」

 真紀は、むしろ嬉しそうに笑った。

「では……始めますか!」

「おうよ!」

 夏香は構え、そして……。

「『DULL FAGA』GO!」

 鋼鉄の胸が閉じ、巨大ロボットが機動する!


 


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