Fists of Wings・番外編
真夏のように〜真紀と夏香〜

■5■

―3―長月メモ


RAFAGA(ラファーガ):
 スペイン語で『激しい勢いで吹く風』のこと。
 『ファーガ』シリーズは、ここより名前を拝借した。



RYA−FAGA(レイファーガ):
 ファーガシリーズ第一作。

 望むべき全ての性能……パワー、スピード、火力、運動性能などなど……を全て盛り込んだ兵器。
 長月真紀がもっとも作りたいと語る理想の機体を具現化させようとしたものである。
 長月真紀が好きなアニメの頭文字を拝借し、以後、『レイファーガ』と命名。

 高さ300メートル。重量28000トン。

 欠点はあらゆる性能を入れすぎたため巨大に成り過ぎてしまい、脚部が支えられなくなったこと。
 結果自力で立てず、一切の機能が使えなくなった。
 『高性能な無用のデカブツ』と化した。

 様々にバージョンアップ&修正が加えられて、現在は30メートル。420トンまで縮小。
 それでも『長月真紀』が理想とするものに至らず。
 開発は現在も続行中。



EVI−FAGA(エヴィルファーガ):
 通称、黒ファーガとも呼ばれる。
 ファーガシリーズ第二段。
 レイファーガを元に性能をシャープにまとめ、その上で“2月”アルシャンクの力を借りて作り上げた。

 身長15メートル。重量105トン。

 空中時における最高スピードは戦闘機にも勝るとも劣らぬ速度を測定。
 かつ、二足歩行における地上戦闘を完全にこなせる。
 威力を受け流す……つまり、攻撃を正面から受け止めるのではなく、合気のように流す発想を持ち込んだ……『パリスペイント』を装甲に施し、高い防御力を誇る。

 アルシャンクの力のおかげか、自己進化、自己修復機能を独自に持っていた。
 そのためか、AIが人格を持つに居たり、人間が『眠る』『起きる』の動作を行うように『機動』『停止』を自分の意思で行い、パイロット無しにも関わらず独りでに活動を行う。

 致命的欠陥があるとすれば、この自己進化機能で得た人格であろう。
 エヴィルファーガ自身が無生物であるためか、生物全てに憧れと憎悪のような感情を示す。
 某日の深夜、独りで起動したエヴィルファーガは施設を抜け出し、近くの都市を消滅させようと暴走した。

 結局、緊急停止システムを発動させ、強制的に機能を初期化することになった。
 もし数刻でも遅ければ、このシステムさえ自己進化機能によって書き換えられていた可能性がある。

 金、鉄、セラミック、アダマンチウム、カーボン、合銀……何層にも及ぶ硬物質で厳重に固め封印。
 燃えないゴミの日に出すが、何故か回収されず、結局海底深くに放棄された。



SUN−FAGA(サンファーガ):
 ファーガシリーズ第三弾。
 3とサン・フラワー(ひまわり)をかけてあるとか無いとか。
 サン・フラワーゆえに、ひまわりという安易な外見であったりもする。

 デスファーガの失敗から、徹底的に機能を省き、超々小型に作り上げた。
 ひまわりの格好のためか、サンファーガと呼ばれることがなく、以後『ひまわり人間』に定着。

 身長60センチ。体重5キロ。軽くて長持ち。

 単純戦闘力ならば幼稚園児かそれに劣るレベルのものだが、一方で『腕』が非常に器用で日常雑用にとても便利。
 月の光ほどの明るさと水があれば、それのエネルギーで活動可能。
 意外にも丈夫で、潰されてもペラペラになるだけで、数秒もすれば復活する。
 また、顔の種は採取すれば1週間ほどで再生する。
 この種は酒の摘みにも最適だが地面に埋めると、2、3日で新しいひまわり人間を精製する。

 特化した人工AIを持っており、それぞれのひまわり人間で違う人格を有している。
 知能は小学生低学年程度のものであるが、喋ることも可能。

 現在、40体近くまで増殖。日常面で非常に役に立っている。
 意外にも燃えやすいので注意。



DULL−FAGA(ダルファーガ):
 サンファーガを完成させた時点で、長月真紀自身が作ろうとした物とはかけ離れていることに気づき、新しく製作したもの。
 試作先行小型化レイファーガ……通称、ダルファーガ。

 完璧に完成してもいないレイファーガの、『試作』も『小型化』も無い気もするがそれは置いておこう。
 レイファーガを『スーパーロボット』と位置付けるならば、これは『リアルロボット』である。

 『卓上の理論』では完成したと言っていい。
 『ステップ』『ダッシュ』『ワイヤー』など様々な機能を備える。

 後は、実戦データを得るだけ。
 そして……初の実戦は人類最強の女の子に決定した。


 余談だが、レイファーガの名残として『ファイヤー・ナックル・ビート』は残してある。


 


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