それが何か
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| 古めかしいエンジン音を立てて、 畑守と緋龍が乗るおんぼろワゴンは科捜研の事務所に向かっていた。 「緋龍、あのレポートどう思う。」 唐突に畑守がさっきエイトトゥエルブで買ったタマゴサンドをぱくつきつつ、言い出した。 「面白かったッス。資料もとても詳しかったッスよ。 詳しすぎるぐらいに。」 「そこだ。気付いたか。」 「学はあるッすから。」 にやにや笑いながらビニール袋に手を突っ込んで、 畑守はやはりさっき買ったマヨネーズコーンパンを取り出した。 「何でか知らんがあれだけしかない証拠であそこまで資料やらなんやらを、 取り揃えられると言うのはすごい。すごすぎてかえって不自然だ。」 マヨパンを満面の笑みで口に放り込む。二口で食べてしまった。 「それと、あのまっこう丸の方もなんかにおうッス。」 「ああ、この事件自体がおかしい。不自然すぎる。」 これは巨大な怪物による明らかな災害だった。 だが、どうにも二人には、この災害に人災・・・・いや、 事件の陰が見えてたまらなかった。 「緋龍、ちょっと提案がある。」 「なんッスか?」 今度は、袋からマヨコロッケを取り出しつつ、畑守は言った。 もうお分かりだと思うが、彼はマヨラーなのである。 「ちょっと、ポジション決めないか?」 国際研究ポートシティ。 仙台の沖合いに造られたこの巨大なエアポートシティは、 各国から選りすぐられた技術者研究者陣の溜まり場であり、 世界の最先端技術の発信地でもあった。 そしてその中央に、見るものに威圧的な雰囲気すら与える総合データビルがある。 が、今ここを見せる必要は無い。 重用なのはここの内部、エアポートの中に作られたレベル5研究施設であった。 「・・・・古牙くん、君は今なぜこのレベル5地下研究所に呼ばれたか分かっているね。」 デジタルの水槽をバックに壮年の男が言った。 胸には、藤倉明人と書かれたバッジがついていた。 彼の前に立つ色白の研究員、古牙はこくりと頷いた。 「何故、エヴィル狽逃がし、 その上あれにオリジナルのエヴィルブレインをインプリンティングしたわけを、 説明したまえ。」 古牙は皮肉めいた表情で、にこりと笑った。 |
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