それが何か
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| 廃棄物処理場。 東京湾内の埋め立て地のあちこちに見受けられるその一帯は、 レインボーブリッジや海底トンネルで本土とつながってはいたが、 そこを絶ってしまえばほとんど孤島も同然だった。 ここならば、職員を避難させれば、立派な怪物相手のリングになった。 夢の島じゃ凹凸がありすぎて戦いづらいと言うのも一つの理由だったが・・ 「葉護崎一等陸佐!ただいま参じました!」 「小田原一等海佐!同じく参じました!」 「高森一等空佐!同じく参じました!」 三人の偉そうなキャリア軍団が、仮設本部の中に入ってきた。 こくりと頷いた本作戦の指揮をとる野沢政務次官が、かけるように命ずる。 三人は、憮然とした面の畑守と緋龍の横に座った。 「では、作戦の進行状況を報告してもらおうか。」 「現在、空中自衛隊が、上空から目標の監視に当たっております。 目標は現在、有明沖に潜伏中でありまして、 目下、スカウトヘリが五機、目標を監視中です。」 「現在、海上自衛隊は、目標を誘導するために付近の海上に、 目標のマーキングがついたまっこう丸を牽引中であります。 さらに、そこから数十m離れた処理場内に、多数のエサを配置しております。」 「現在、陸上自衛隊は、目標を誘導するポイントに、 第一陸上師団の一部部隊を配備しております。 目標確認後、先ほど防衛庁より搬送されました特殊弾頭を用いて、 目標を弛緩させ、その後・・・ 捕獲する準備をしております。」 捕獲!? その言葉を聴いて、畑守は立ち上がり、緋龍は顔をしかめた。 もともと今回の作戦に参加したいと言い出したのは二人だが、 あの化け物を捕獲する、などと言うことは耳に入っていなかったのだ。 「寝耳に水かね。」 「無論です!」「そりゃそうッス!」 思わず、二人は同時に声を荒げた。 「希少動物という見地から見た当然の・・・・」 「そんな御託はもう聞き飽きました! 何故、この期に及んであの生き物を生かそうとなさるのですか!?」 「藤倉氏がお見えになりました。」 「通したまえ。」 「政務次官!」 さらに詰め寄る畑守と緋龍に、野沢はうんざりしたような表情だった。 コーヒーをグいっと飲みほして、畑守は吠えた。 「いつまでこんな馬鹿げた騒動を続けるんです! あいつが生きている限りこの騒ぎは永遠に治まりませんよ! 保障してもいい!」 畑守の発言に、野沢のスイッチが入り始めたようだった。 「くだらないっ。それこそくだらないっ!あれはおそらく世界に数頭しかいないんだ! それを手にするということがどれだけの学術的価値なるのか分からないのかねっ!!」 「学術発展などと言う一部の人間の傲慢な思惑を、自分は承服できません!」 「ほう、そうかね畑守!」 とうとう、野沢は畑守を呼びつけにした。 完全に二人の間に大きな溝ができていた。 「君の意見は分かった!だが君の相棒の意見はどうなのかねっ!」 「は?」 虚を突かれた畑守に、ここぞとばかりに野沢は攻め立てた。 「緋龍君は本来はキャリア組でもある! 君のようなたたき上げの礼儀知らずとは違うのだ! 君がそういう強硬な姿勢をとるのならば、私は彼に意見を聞くことにする!」 『ディスイズウィザード。(こちらウィザード)ディスイズウィザード。 ターゲットサーチ!(目標補足!)ターゲットサーチ!』 『ラジャー、ウィザード。プリーズアプローチスタート。』 |
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