Summer in Gaia〜ヤツらの夏〜
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| 「!!!!」 呆気にとられるミュー。 慌てて起立するグラス兄弟。 ドアを開けて現れたのはこのゴライアス・ガーデンの主。 「少し邪魔をする」 ガイア共和国大統領ゴライアス・ゴードンの入室に、一同の顔に緊張が走った。 「ゴ、ゴードン様ッ!?」 ミューの頬がみるみる上気する。 「これはこれは大統領閣下」「何の御用でしょうか?」 うやうやしく礼をするグラス兄弟。 さっそく大統領は用件を述べた。 「たまには昼食を外でとりたいと思ってな‥‥‥人目を忍んで出ようと思う。 だが1人で出るとキルマーが煩いからな。君達の内の誰かについていて ほしいのだが‥‥‥」 ブラックグラス、レッドグラス、ミューら3人を見比べるゴードン。 「‥‥なるべく目立たない方がいいな。ブラックグラス、来てくれるか?」 「ハッ。かしこまりました」 「ゴードン様‥‥‥」 ミューが首に巻いているチョーカーを撫で始めた。 「!」「!」 グラス兄弟の顔にさらに緊張が走る。 ガーディアンズには任務をスムーズに遂行させる為の、メンバーにだけ通じる "サイン"がいくつか存在する。ミューがチョーカーを撫でるしぐさもその一つだった。 (あ、あれは戦略(タクティクス)No.5‥‥)(作戦名『てめぇらはすっこんでろ』‥‥!) 急に腹をおさえて苦しみだすグラス兄弟。 「い、痛‥‥‥」「いたたた‥‥‥!」 「どうした?」 ゴードンがいぶかしむ。 「も、申し訳ありません、残念なことに実は我ら‥‥‥」 「朝食で食べた酢ガキに当たってしまいまして‥‥お供はできませんっ‥‥!」 陳謝するグラス兄弟。腹痛はもちろん演技。 「そうか‥‥‥ならば仕方がないな。ではミュー、君が来てくれるか?」 両頬に手をあて照れるミュー。 「え、えぇー!?私でございますか‥‥?そんな、どうしましょっ‥‥‥ ゴードン様の付き添いで人前に出るなんて私ぃ‥‥‥」 恥じらいを見せモジモジするミュー。 ため息をつくグラス兄弟。 (一度、普段のミュー様をビデオに撮って大統領閣下に見せてみてぇ‥‥‥) (アメリカの暴力ベビーシッターばりの豹変ぶりだよね‥‥‥) 「そうか、イヤか。仕方ない、食事はガーデンの中で済ますか‥‥」 部屋を出て行こうとするゴードン。 慌ててその足にすがりつくミュー。 「いやいやいやいや全然イヤではございませんでつかぁさりますことよッ!? 喜んで!喜んでお供させていただきますわゴードン様っっ!!!」 「そうか‥‥‥では支度をしなさい。エレベーターの前で、待っている」 「かしこまりましたわっ!じゅ、10分で支度いたしますわっ!!」 「あと、余計なお世話かもしれんが‥‥‥」 「はいなんでしょう?」 「煙草は肌に悪い。やめた方がいいぞ」 (兄者、しっかりバレてるな)(ほとんど臭わないはずなのによくわかったな‥‥) 「は、はいわかりましたわ!こんなもの、ポイですわ!」 照れつつ隠し持っていたタバコの箱を窓の外に放り捨てた。 この日以来、ミューは煙草をすっぱりやめた。 |
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