Summer in Gaia〜ヤツらの夏〜


おおわらわで支度を始めるミュー。しかしその表情は喜々としている。
「ああ‥‥ゴードン様と2人っきりで食事☆‥‥‥これってひょっとして、
 "デート"ってやつぅ!?」
「いや違うでしょ」「単に腹減ってメシ食いに行くだけでしょ」
言下に否定するグラス兄弟の顔にそれぞれアイアンクローがめり込む。
「デートですねッ」「デートですよッ」
即座に訂正した。

胸の高鳴りを隠せないミュー。
「ああ‥‥それにしても夢のようだわ‥‥‥この日をどれだけ待ちわびたか‥‥‥
 交際8年目にして初のデート‥‥このチャンス、絶対モノにしてみせるわ!」
「いや交際って‥‥」「閣下とミュー様交際してないじゃないすか」
言下に否定するグラス兄弟の首にそれぞれノドワが食い込む。『ミシッ』とか鳴る。
「こ、交際ですね‥‥ッ」「交際ですよ‥‥ッ」
即座に訂正した。

「ああ!それはそうと何着ていったら良いのかしら!?髪も直したいし‥‥‥
 ハッ!?でも10分しかないしああ困ったわ〜☆」
言いつつもその顔はうっとりとしている。
その様子をただ呆然と見るグラス兄弟。

(まるで女みたいなはしゃぎようだな‥‥)(ホントに大丈夫なんだろか‥‥‥)

「ね、ねぇアンタたち!どんな服にしようか迷ってるんだけどさぁ、
 男の人ってデートの時どんな服着ていったら嬉しいって思うものかしら?」
今着ている黒いドレスを見ながら悩むミュー。
「うーむ‥‥‥」
思案するブラックグラス。
「やはりセーラー服がいいですね。スカートも膝上の短いやつで。
 リボンの色は今の季節は清涼感を感じさせるブルーがいいですかね。
 それ以外ではアンナミラーズばりのメイド服も捨てがた‥‥‥」
顔面にミューの厚底ブーツがスタンプされる。
「そりゃお前が嬉しい服だろがァ!ゴードン様の喜ぶ服をきいてんだよ!」
「そ、そんなの私が知るわけないじゃないすかぁ‥‥‥!
 弟よ、お前わかるか?」
「ふーむ‥‥‥」
思案するレッドグラス。
「‥‥‥大統領閣下の御趣味まではわかりませんが、もとより時間は
 10分しかないんです。服を着替えてる暇などないでしょう。」
「それじゃあどうすりゃいいんだよ?」
ミューの顔に焦りが見え始めた。
「そうですね‥‥‥相手の趣味に無理に合わせるよりも、自分らしさを表現した
 スタイルの方が自然でいいと思いますよ。その衣装のままで良いと思いますよ」
「そ、そうか‥‥‥」
「まぁ髪とかとかす程度で。時間がありませんからここは表面の
 身だしなみだけ整えておきましょう」
感心するブラックグラス。
「おおさすが我が弟。デートの準備は手馴れたもんだな。
 女泣かしの異名は伊達じゃないな」
「誰が女泣かしだよ人聞きの悪い事言うんじゃねぇよ!」
ハッとするミュー。
「そうだ!口の中のタバコのにおいも完全に消しとかないと!
 おい、何か口臭消す道具持ってるか!?」
「ミントガムなら持ってますけど‥‥‥」
レッドグラスが出したそれをさっそく口に放り込み、咀嚼するミュー。
「しかしミュー様、これからすぐ食事なんですから今慌ててガムかまなくても‥‥」
「んーそういうわけにはいかないのよ、だって‥‥‥」
頬を赤く染めるミュー。
「いつ何時、ゴードン様といい雰囲気になって‥‥‥あれよ、その‥‥‥
 キッスを求められる事になったら‥‥‥キャ☆」
顔を手でおおうミュー。
「いや、それは絶対ないない」
「FOWキャラ全員の格闘スタイルがモンゴル相撲になるくらい有り得ないすよ」
言下に否定するグラス兄弟両名がネックハンギングされる。
「さっきからゴチャゴチャと‥‥‥しまいにゃ殺すぞてめーら?」
「あ、ありえないものは‥‥」「ありえないんだいッ‥‥!」
今度はグラス兄弟もがんばった。

「あああもう時間がないわ!仕方ないわね、とりあえずこのまま行ってくるわ!」
駆け足でミューは部屋を飛び出していった。
残されたグラス兄弟。
「‥‥‥兄者、我らも後をつけるぞ。ミュー様1人では心配だ」
「ええ〜?大丈夫だろ、ミュー様がついてれば。どんなトラブルがきても平気だろ」
「いやミュー様自身がトラブル起こしかねないだろ!?」
「う〜ん‥‥‥俺、衛星放送で『THE ADAM SHOW』見たいんだけどなぁ‥‥‥」
「そんなもん録画しときゃいいだろ!」
「トホホ‥‥‥」
グラス兄弟も続いて後を追った。


 


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