トルーパー

3 ふぉーえばー


「・・・・・・けっ。」
どういうわけか、この世の中って言うものは、うまくいかないようで、
今日も今日とて雑務をこなし、プロトはなんとか生きている。
「だいたいだなあ、オレは一応、戦闘員だろ。トルーパーだろ!」
「まあね。」
「そうだな。」
「見た目、的にも。」
いつものように手伝ってくれているひまわり共が言葉を返した。
「それが、なんで、」
思わず、スコップを地面に叩きつける。
「ドブそーじなんかやってるんだ、畜生!」
「またまたあ。」
「単にやる気がないだけだろうが。」
図星。

かき。
「おや?」
ひまわりの一人がドブから何かをすくい上げた。
「なんだろうね、これは。」
「どれどれ?」
「みして。」
皆、もう、やる気のかけらもないからぞろぞろと集まってくる。
それは、銃弾だった。
一発の鉛玉。ただそれだけ。暦にいればいやでも見慣れる。
「なんだ。」
と、山積みにされたゴミ置き場に置こうとしたら、
「それ、くれ。」
と、唐突にプロトが言い出した。
「・・・・・なんで、こんなもん、兵器部からちょろまかして
 くればいいじゃん。」
「いや、違う。」
「?」
「どっかの兵器オタクに高値で売れるんだ、こういうのが。」
がめつい。

がちゃ。
「ん?」
今度はさっきのよりもおおきそうだ。
「なんじゃ、こりゃ。」
一人のひまわりが一本のボトルを引き上げた。
「なんか入ってるか?」
「あ・・・ああ。ほんとだ。きれーだなあ。」
ちゃぷちゃぷと音を立てて、日にすかすと金色に輝く液体が入っていた。
「なんだろうね、これ。」
「そーだなあ。」
学力のないプロトや、意外と抜けているひまわり人間には分からないが、
こういう色を琥珀色というのだ。
まあ、とにかく、綺麗だ。
「あけてみよう。」
「うんうん。」
開けた瞬間。
ボトルから勢いよくガスが吹き出た。どす黒いいかにも毒々しいガスだ。
「ひょえええええ!」
「な・・なんだ、なんだあ!」
「うおおおお!あっち!なんかこの煙熱いぞ!」
大騒ぎ。
・・・・・・・・・数十分経過。
「・・・・・はあ・・は・・・はあ・・・」
「ああああ、こわかった・・・・」
なんとかむちゃくちゃ熱を持ってしまったボトルのふたを閉めて、
大混乱はおさまった。
「なんだったんだ・・」
「ど、毒ガス?」
「オレらの知った事じゃない!捨てろ!捨てろ!」
とりあえず、危険物はゴミである。
げっ!危ないな、と思った人がいても、
彼らにとってはこれが最善であるので、あしからず。

にしても、だ。
ここんところ本当にまともな仕事がないとプロトは思う。
いい加減にしてくんないかなあ・・
「けっきょく、意中の人も現れないしなあ・・・」
ああああ。面倒くさい。
「茶にするかあ!」
半分ぐらい終わるとお茶、それが彼のポリシー・・というか習性である。
んで、この後、FOW参加が命じられるのだが、
やっぱり本人的にやる気はないらしい。


 


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