トルーパー

4 ストライク・バック その後


この部屋は雰囲気自体が暗いから苦手だ。
この部屋でやる仕事も単調で嫌いだ。やる気がうせる。(もともと無い)
ほこりを払って本棚に入れる。ほこりを払って本棚に入れる。
ただそれだけのこと。
いや、いや、今日はいつもよりましかもしれない。
なぜならば・・・・
「今日は二月が留守だ!」
と、プロトは叫んだ。
ああ、ああ、神様どーもありがとう。
この、プロト・ガルベット、信頼しあえる人物がいなくても、
生きていけそうです!
午前中は九月、午後は二月と、
もう、作為的なものすら感じられる今日の日程も、
あながち悪い事続きではないらしい。
「よかった・・・」
別に、嫌いなわけではないのだが、プロトは、
二月ことアルシャンクが大の苦手だ。超がつくほど苦手だ。
遠まわしに言うと、あの人の雰囲気になじめない。
率直に言うと、怖くて不気味でもういや!
・・・・いや、こんなことはいうと失礼だろう。
まあ、理由はなんにせよ、今日はいないのだ!
「ほんとに、よ・・・・」
ドアの開く音。
「!!!!!!!!」
待ってください、神様。すいませんでした神様。
汝の隣人を愛せよと貴方は言いましたね、神様?
ごめんなさい、その隣人を求めなかった事を懺悔します。
信頼できる隣人はやっぱりほしいです、神様!
ので、どうか・・・どうか・・・!
震えて、こわばった顔で後ろを向く。
そこにいたのは・・・・・
「・・・リ、リヴィーナ・・さん・・」

やっぱりじろりと睨まれたが、とくにあの人とは衝突も無いので、良し。
ほんとに、今日は運がいいらしい。
彼女は多忙らしく、ひょいと本を一冊手にとって、すぐ部屋を出た。
ああああ、助かった!
と、その時、また、ドアの開く音。
嗚呼!お約束!安心した途端にですかあ?神様!
冷や汗が滝のように流れる顔を、なんとか後ろに向かせる。
・・・そこにいたのは!
「アルシャンクを知らないか?」
「・・・ガ・・・ガレホさん・・」

結局、ガレホに自分がいたときから二月はいなかったことを告げると、
彼はあくせくとまた外に出て行った。
彼の物腰はとても紳士的で、プロトは彼を好いている。
同じ貴族でも、四月とは偉い違いだ!
「さあて、と。」
ここらで、おそらくまた次が来るのであろう。
もう、びびらん。と、プロトは心に誓った。
そうだ!そもそも怖がる必要も何も無いじゃないか!
別になんも悪い事はしてないし、仕事をしているし、
・・・・そりゃあ、はかどってはないけれど。
なんにせよ!今日は、二月は留守!二月は今日ここには・・
ドアの開く音、みたび目。
今度は、はじめから覚悟していたので、すぐさま振り向いた。
そこにいたのは、
「!!!!!!!!!」
緑と銀の髪。紅いミラーグラス。少年のような背格好。
なにより、唐突に開いた鍵穴。
・・・・・・・・・・そういえば、これもお約束でしたね、神様。
「・・・はかどっているか?」
合掌。


 


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