氷炎の絆
作者 恵駆
第一章「引かれ合う運命の糸」
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| ※ その日の夜。 調査を済ませてホテルに戻っていたK´は、疲労と不機嫌が混ざったような表情でベッドの上に寝転がっていた。 すると1人の大柄な男が、大きな紙袋を手にして部屋の中へと入ってきた。 「よう、お仕事、ご苦労さん」 入ってくるなりそう言うと、男……マキシマはK´を見て苦笑した。 「大分へばってる様だな」 「うるせぇ……」 あまり力のない声で言い返しながら、マキシマに背を向けるようにK´は寝返りをうった。 その様子を、マキシマは別に気にしないといった感じで紙袋の中からチョコレートバーを取り出し、K´に差し出した。 「疲れてる時には、甘い物が一番だぜ?」 「お前は疲れてなくても食ってるだろうが」 話す気ゼロと言った感じのK´にマキシマは、差し出したチョコレートバーをかじると、そばにあった椅子に腰掛けた。 「そう言えばウィップから聞いたぜ。何でもZEROの奴がお前の代わりにXX達とチームを組んでKOFに出るらしいが?」 「ああ……今日XXから連絡があった。あいつがチームを組むことを了承したってよ」 「本当かよ……いろんな意味であいつは苦手なんだよな。それにウィップも言ってたぜ『まさか彼が本当にチームを組んでくれるなんて』ってよ」 「俺に何の相談もしないで勝手にチームを組んだ罰が当たったのかもな」 「ハハハ、お前にしては面白い冗談だな」 そう言いながらマキシマは笑う。 しかし、目だけは真剣であった。 「だが、あいつのことだからふたつ返事でOKしたわけじゃないんだろ?」 「ああ、すぐには首を縦に振らなかったさ」 そう言いながらK´はあお向けになる。 「何かこっちの情報を提供するとかの条件付きで話を飲んでくれたのか?」 「いや、そんな事は要求しなかった……あいつはたった1つだけ俺に質問してきただけだ」 「どんな質問だ?」 「『俺があの2人と組むことでどんなメリットが生じる?』ってよ。そのことについて1時間の押し問答だ……」 「何を話したんだ?」 「忘れたよ……思い出したくもねぇ……」 「思い出したくもねぇ」の部分を強調するかのように、K´は手で頭を抑える。 それを見てマキシマは苦笑した。 「だけど、あいつは結果としてあの2人と組むことを了承したんだろ?」 「まあな……正確には『あの2人と直接会って決める』って言っただけだったけどな」 「なら、最終的にあいつを説得したのはXXってことか」 「俺が役に立たなかったとでも言いたいみたいだな」 「冗談だ、忘れてくれ」 笑いながら手をパタパタと振るマキシマに、K´は深くため息をつくと、ベッドから立ち上がった。 「どこに行くんだ?」 「気分が悪くなった、外の空気を吸ってくる」 顔だけを振り返らせながら尋ねるマキシマに見向きもせずにそう答えると、K´は部屋を出て行った。 1人部屋にとり残されたマキシマはフッと軽くため息をついて、紙袋の中から2本目のチョコレートバーを取り出し。 「今回の大会も、色んな意味で波乱が起きそうだな」 そう呟いて本日2本目のチョコレートバーをかじった。 ※ |