KOF
ニュージェネレーション
作者 タイ米
ラウンド2 「因縁」
| 全日本異種格闘技大会で、大きい番狂わせをやっての けた焔の生活は、その後、一変した。 大会直後の取材責めを皮切りに、彼の私生活をTVで 取り上げられたり、ファンレターが毎日、山程来る等、 まるでスターのような扱いであった。 最初はこんな生活も悪くないな、と思っていた焔も一 週間も続けられると、さすがに飽きが来始めた。 「ハァ。全く、この時ばっかりは『芸能人』とやらを尊 敬しちまうよ。こういうのに毎日あってるわけだからな…」 学校へ行く途中、焔はこうつぶやいた。 その時、焔の体が何者かにぶつかった。 「わっ、悪ぃ…」 焔は謝り、早々と立ち去ろうとした。 が、ぶつかってしまった相手が焔を引き止める。 「おい。お前、もしかして草薙だろう!?」 「ん? ああ。そうだけど…」 この瞬間、焔はしまったと思った。 今の自分の顔は、日本中で知られている。 長居をすれば、次から次へと人が寄って来る。 何とかして、この場から逃げ出したいと思ったが、最 悪な事に、どうも相手はそうさせてくれる雰囲気ではな かった。 「なぁ。俺も授業があるんだ。用なら早く済ませてくれ よ…」 「大丈夫だ。すぐ終わる…」 そう言い、相手は急に構え始めた。 「その構え、柔道か。それにその格好って事は…」 相手の男は柔道着を着ていた。 「こんなど真ん中でやるつもりかよ…」 「あんな、まぐれの勝利で浮かれてんじゃねぇぞ。最強 の流派はなんと言おうと、柔道だ!!」 柔道着の男は、大会での焔の勝利をまぐれと言い放っ た。 もちろん、そうではなく、実力でもぎ取ったものでは あるのだが、柔道を最強と信じて疑わないこの男にとっ ては、そう思い込みでもしないと、やっていけないのだ。 焔もこんな所で時間を取ってられない。 かばんを置き、構える。 「わかったよ。どっちが最強か、はっきりさせりゃいい んだろ?」 「やっと、覚悟を決めたようだな…」 幸い、人気はそんなにない。 決めるなら今だ。 焔は、駆け出し、一気に間合いを詰める。 「ヘッ、馬鹿が…。自分から投げられにくるとはな!」 男は焔が近づいてくるや否や、掴もうとする。 が、それより一瞬早く、焔が相手を掴んでいた。 そして、相手を背負い、逆側の地面に叩きつけた後、 無防備の腹に肘を入れた。 「一刹・背負い投げ!!」 焔の投げが完璧に決まった。 男はあまりの痛さに、声すら出ない。 焔は勝負がついたことに一安心し、軽く呼吸を整える。 しばらくして、男も何とか体力を取り戻し、立ち上が る。 だが、その表情は悔しさに満ちていた。 「な、何で…。掴みの勝負なら絶対負けないと思ってた のに…」 「確かに、柔道の投げは脅威だけど、別に投げ技はうち の流派にだってある。それに、身のこなしなら、誰にも 負けない自信があるんだ。もちろん相手に投げられる前 に投げる事も」 「くそっ!!」 男が拳を地面に叩きつける。 焔は、かばんを再び持ち、学校に行こうとした。 今から行けば間に合う。 が、その時だった。 「へぇ。あの草薙焔さんは、ストリートファイトのサー ビスもやってくれるのか!」 柔道着の男の仲間と思われる人達が現れた。 さすがに焔もこれ以上は付き合えない。 「あんたらも何か用か? 悪いけど、これ以上はもう無 理だぜ」 「んな事いうなよ。せっかく、仲間が世話になったんだ。 俺らもレクチャーしてくれよ」 本当にこいつらは柔道部員なのか? と焔は疑いたく なった。 確かに、ここら辺の学校は治安が悪いと噂で聞いた事 があるし、自分のような、時の格闘家(ひと)が近くに いると判れば、血の気の多い奴は誰だって闘いたくなる だろう。 むしろ、今までそういう奴らに会わなかった事自体が 奇跡に近い。 もはや、諦めの表情を見せる焔。 「そんなにあんたらも戦いたいのかい? 別に構わない けど、容赦しないぜ!」 かばんを叩き付け、構える焔。 「さぁ、さっさと来いよ! こっちには時間がないんだ からな!!」 「言われなくても、すぐ終わらせてやるぜ!!」 一斉にかかる柔道部員達。 その後、一分と経たずに彼らは焔一人に全滅させられ るのであった。 |