KOF
ニュージェネレーション

作者 タイ米

ラウンド3 「強い格闘家(ヤツ)」


 とある高校の柔道場。

 そこで一人、精神統一をしている大柄な男がいた。
 彼は、中に誰か入ってきた音を聞くと、ゆっくりと
目を開けた。
 眼前にはボロボロの姿で帰ってきた、柔道部員達の
姿があった。
「随分、遅いランニングだったのぅ…」
 男が口を開く。
 部員達は黙ったままだ。
「それに、そんな姿になるとは…。どこかで事故にで
も遭ったか?」
「い、いえ…」
 部員が喋った後、しばらくの間は沈黙が続いた。

 やがて、部員の一人が男に尋ねた。
「部長。柔道は最強ではないんでしょうか?」
 その問いに、男は驚いた。
 まさか、柔道最強を信じて疑わない仲間から、こん
な言葉が出てくるとは思わなかったからだ。
「何故、そんな事を聞く?」
 男が逆に尋ねた。
「実は、ある男に会ったんです…」
「ある男?」
「草薙焔。例の異種格闘技大会で、全日本代表の空手
家を破った奴です」
「ほう。有名人に会えて良かったのぅ。で、サインで
ももらったのか?」
「いえ、奴と戦いました。柔道が最強である事を証明
する為に…」
「なるほど。それで結果がそのザマか…」
「俺達、みんな軽くあしらわれて! 掴めば絶対負け
ないと思ってたのに!!」
 今まで座禅を組んでいた男は急に立ち上がった。
「情けないのぅ! たった一回の敗北でそんなに落ち
込むとは…。そんな事では柔道最強なんぞ、何年かか
っても証明できんぞ!」
「部長は、奴と戦った事がないからそう言えるんです!」
「何だと!?」
 部員の一言に、男はキッと睨む。
 思わず引いてしまう部員達。
「す、すいません。過ぎた口を叩いてしまって…。確
かに、俺らが未熟である事もまた、事実ですものね」
 先程の言葉を発してしまった事に反省する部員。
 男は、部屋に入ってからの彼らの表情を見て、その
草薙焔の実力がどれ程のものかを悟った。
「そんなに強いのだな。草薙焔という男は…」
 男が部員達に尋ねた。
 急に聞かれ、一瞬驚く部員達。
「部長、一体何を…」
 部員の一人が尋ねる。
「決まっておろう。奴に柔道の強さを見せてやるのだ。
この古谷源吾、直々にな…」
「……」
 この唐突な発言に声も出ない部員達。
「良いか。お前らは、奴が学校から帰るところを待ち
伏せておけ。「お前と戦いたい奴がいる」とか言って
ここに連れてくるのだ」
「……」
 まだ声の出ない部員達。
 我を返らせたのは源吾の柔道場全体に響く一声であ
った。
「わかったな!!?」
「は、はい!」
 返事を聞くと、源吾は時計を見る。
「ぬぅ、おかげで朝練の時間がなくなってしまったわ
い。この分は放課後からの練習で補うとしよう…」
 そう言うと、この場は解散となり、部員達はそれぞ
れの教室に向かって行った。

 教室。
 自分の席に座る源吾。
 妙に、さっきから自分の柔道家、いや、格闘家とし
ての血が騒いでならない。
「久々にホネのある奴と戦えるわけか。今から楽しみ
じゃわい!」
 源吾はやる気満々であった。

 夕方。
 焔は自宅に帰る途中だった。
 今日も今日とて、自分の周りでは色々と騒がしかっ
た。
 もう、これ以上は勘弁してもらいたい、と思ってい
た。
 が、最悪のタイミングで、朝に会った柔道部員達が
焔の行く手を遮った。
 溜息をつく焔。
「何なんだよ、あんたら。また俺とやろうってのか?」
「いや、そうじゃない…」
「違う? じゃあ、何だよ!?」
「お前とどうしても戦いたい人がいるんだ。その人の
所まで来てもらう」
 連れて行こうとする柔道部員達。
 それを無理矢理止める焔。 
「待てよ。その戦いたい人ってのも、お前らと同じ実
力ってわけじゃないだろうな?」
「ああ、違う。今までの相手とは訳が違うんだ。いく
らあんたでも、嘗めてかかったら、負けちまうぜ…」
 その言葉を聞き、急に血が滾り始める焔。
「へぇ。そんなに腕に覚えのある奴がいるのか。なら、
会わないわけにはいかないな…」
 拳を固く握り締める焔。
 こちらも既にヒートアップしていた。


 

ラウンド4に続く
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