KOF
ニュージェネレーション

作者 タイ米

ラウンド4 「焔vs源吾」


 部員達によって、柔道場に連れてこられた焔。
 そこには、源吾が一人立っていた。
「あんたか? 俺と戦いたいって言う奴は…」
 焔が尋ねた。
「いかにも…」
 源吾が焔をまっすぐ見る。
「部員達の非礼、そしていきなりのお願いに、重ね重ね
詫びを入れよう。しかし、ワシ自身、強い奴と戦わねば
気がすまぬ性格(タチ)でな。お相手願えるか?」
 源吾から闘気が発せられるのを感じた焔。
 体ではない。
 その闘気の大きさに、こいつは本物だと、焔は即座に
見抜いた。
「何だ。なかなか楽しませてくれそうじゃん。もし、あ
んたが最初に出てくれれば、ここの柔道部のイメージも
変わってたのにな…」
 言葉の出ない柔道部員達。
「そうか。だが、イメージを変えるのは、別に今からで
も間に合う筈だ…」
「…そういや、そうか」
「上がれ。早速始めようではないか」
「OK!」
 中に入る焔。
 周りは全て、柔道部員達によって囲まれていた。
「安心せい。ただのギャラリーじゃ」
 源吾が言う。
「別に襲ってきたって構わないぜ。ま、あんたはそんな
姑息な手を使う人間とも思えないけどね…」
「ほう。嬉しい限りじゃな…」
 構える源吾。
「柔道の力、見せてくれる!」
「手加減しないぜ!!」
 焔も構える。

 周りに緊迫した空気が流れる。
 構えてから数分が経つ。
 お互い、隙を探りあっていた。
「あ、あの攻め重視の部長が動けないなんて、なんて奴
だ…」
「確かに、あんな闘気放たれちゃ、俺らじゃ手も足も出
ないな…」
 柔道部員達が口々にこぼしはじめる。
 それだけ、焔の闘気も凄まじかった。
 が、ここで動きがあった。
 先に動いたのは、源吾の方だった。
(掴む気か!?)
 源吾の手を払いのけ、一定の距離を取ろうとする焔。
 だが、その体が一気に、源吾の方に吸い寄せられてし
まった。
「な!?」
 よく見ると、払いのけたはずの源吾の手は、しっかり
と、焔の腕を掴んでいた。
「柔道は掴みこそ全て。掴みを制した者は…」
 焔の体がフワッと浮く。
「柔道を制す!!」
 ズダンッという凄まじい音が、柔道場に響き渡った。
「出た! 部長の強引な掴みからの一本背負い! これ
で部長は白星の山を築きあげていったんだ!!」
 柔道部員の一人が叫ぶ。
 だが、源吾の攻撃はそれだけでは終わらなかった。
「こ、これは!?」
 腕ひしぎ十字固めの構え。
 一気に極めてしまおうという源吾の考えだ。
「チッ。なめんなぁ!!」
「!?」
 叫ぶ焔。
 源吾の関節技から、何とか脱出する。
「ほう。ワシの腕ひしぎから逃れるとは…」
 立ち上がる両者。
「あの馬鹿力は計算外だったが、戦法まではそうはいか
ないはずだ。先に対策を取らせてもらったぜ…」
「対策…だと!?」
「一応、こちらも古武術やってんだ。外し方くらいは知
ってるつもりだぜ…」
 とはいえ、焔が腕を振ってるところを見ると、それで
も決して楽には脱出させてもらえなかったようだ。
 再び構える焔。
「どうやら、そう簡単には極めさせてもらえぬようじゃ
な…」
 同じく、構えを取る源吾。
「今度は、こっちから行くぜ!!」
 言うや否や、源吾の方に駆け出す焔。
「血迷ったか!!?」
 近づいてくる焔を、持ち前の怪力で掴もうとする源吾。
 しかし、その手を下から足が襲った。
「!?」
「草薙流は『手』だけじゃないぜ…」
 想像以上の衝撃に、手を上げた状態にしてしまった源
吾。
 懐が空く。
「オラッ! ボディがお留守だぜぇっ!!」
 焔のボディブローが、源吾の表情を苦痛なものに変え
た。
 その後も、焔のラッシュが続く。
 気付いてみれば、源吾は防戦一方であった。
「ぶ、部長!!」
 思わず、部員達も声を上げる。
 彼らが叫ぶのも当然だった。
 源吾が防御一辺倒になったことなど、今までなかった
のだ。
(く、くぅ!! ワシをここまで固めさせるとは! 何
て男じゃ!!)
 だが、この状況を誰よりも驚いたのが、源吾本人であ
った。
 焔の強さは色々なところで聞いていた。
 だが、これほどのものとは思わなかった。
 一発一発が、源吾の体力をガードの上から奪っていく。
 ガードの上から…。
 その時、源吾はある事に気がついた。
(こ、こいつ、炎を使っていない!!)
 草薙流は炎を操る武術として知られている。
 しかし、まだその炎すら使わせていない事実を知った
源吾は、焔に対する屈辱感、そして怒りを覚えるのだっ
た。


 

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