血塗られた歴史と炎
ラウンド6「燃える炎」
桐生が京の修行場所を探して走り回っている時、
物陰などに隠れつつ彼を追っていたネスツの男、ジーク。
このときは、桐生が足を止められたということも
あり、非常に険悪なムードとなった。
もっとも、その時機嫌が悪いのは、桐生一方のようだが。
☆
『…なんで、俺をつけてんだ?』
足を止める桐生。
尾行がバレていたことを悟ったジークは、隠れていた
木の陰からゆっくりと姿を見せた。
『…流石だな…気配は完全に絶ったつもりだったが…』
『ヘッ、俺には分かってたな。気配がよぉ』
『…それがいいかもしれぬ』
『?』
その言葉に、桐生は多少の不安と少しのいらだちを
感じた。
こいつは、何を考えてやがる?
『…まあ、そんなことはよい。…用件を言おうか』
『…用件…だぁ?』
『契約…だよ』
『契…約…?ハン、俺と、お前が手を組む、って
ことか?冗談はその奇抜な服だけにしろよ』
ゼロやイグニスが着ていた服に良く似ているジークの服。
☆
草薙京を殺すのが今の目的の彼には、協力心などの
強調性は無いようなものだった。だが、
『…草薙京…』
『なに…?』
『『草薙京と戦える』ならどうだ?』
このセリフが、口頭契約の決め手となったのである。
☆
二人同時の攻めに、さすがの京も苦戦を強いられた。
桐生に百八拾弐式を出す京。
「うらああっ!!」
「さっきから狙いがハズレてるぞ!」
攻撃を一歩ひいてかわす桐生。もう一人も攻撃の手を
抜かない。
「はあっ!」
地面を這う衝撃破を出すジーク。京の足をとらえる。
「うっ」
足をやられて地面に膝をつく京。
当然、それだけで降参するわけもなく、再び立ち上がる。
「くっ…」
だが、立ち上がっても、足はふらついたまま。
「そんなボロボロの状態から、どうくる気だよ」
「………」
桐生は馬鹿にしたような態度をとる。ジークは黙った
ままだ。
「……なめるなぁ!!くらいぃ……」
桐生の言葉に押されてか、京は体を炎で包む。
拳が上に上がった。
「そう、きやがったか…うおおおぉぉ……」
桐生も同じ姿勢となる。
「やがれえぇぇっ!!!」
「燃えろおおおっ!!!」
二つの大蛇薙がぶつかりあう。二つの炎は天に昇り、
地上では爆発が起きた。
炎をぶつけあった二人はー…
「……まだ、やる気かよ」
「お前こそな、桐生」
炎の壁で無傷だったようだ。
お互い、背中を向けあって動こうとしない。
「ふんっ!」
その沈黙をジークが破った。京にディバイン・アローを
打ったのだ。
「ぐ…っ」
前にドサッと倒れる京。
俺は……ここで……果てるのか?
眼が死にかけていた。自分らしくない眼をした。
「その眼では殺すには勿体ない程に面白味がないが…
とどめをさしてやろう」
京に向かって開いたジークの手にエネルギーが集まる。
(俺も…終わりか…)
京がそう思ったその時、炎の気配がした。
自分と、同じようで、違う…
(まさか!?)
横に転がって起き上がる京。溜めていたエネルギーを
止めるジーク。
「誰だ!!」とジークが言う。
「『誰だ』じゃねぇよ…人のツラ忘れたのか?
人の炎を跳ね返したくせになぁ!」
いつのまにか、黒い革ジャンに白い髪の男、K’が
いた。右手の炎が燃えている。
「やはり来たか。Kシリーズ、ナンバー『 ’』」
「あんたが足跡をバッチリ残してくれたからな。
それはそれとして、草薙京!!
ネスツが無くなったからって、そんなボロボロに
なるようなフヌケになってんじゃねぇ!!!」
「な!てめ……いや、いいんだ、お前の、
言う通りだから」
K’の言う言葉に、京は自分の最近の府抜けさと、
修行不足を痛感した。
あの時は、『組織を壊滅させたい』という
思いがあったけど、今は、何も…考えちゃいねぇ。
「そのなんとかダッシュが、一人でなんの用だよ?」
桐生が冷めた口で聞く。
「一人じゃねぇよ…客、もいるんだよ。
草薙、お前にだが、お前の『敵』じゃねぇ。
むしろ味方だ」
「?」
京はどういうことかわからなかった。
ただ、その『客』はすぐに姿が見えた。
「お前が草薙京…か」
荷物に赤いハチマキ、白い胴着。
リュウである。
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